マネジメントにノルマや罰金は必要ない? 異色のキャバクラ漫画『ヒマチの嬢王』に学ぶ、信頼関係の築き方

キャバクラ漫画『ヒマチの嬢王』が伝える「誠実」さ

疑似恋愛ではなく人間同士の関係の構築

『ヒマチの嬢王 (5) 』

 さらに、アヤネの誠実さは客に対しても遺憾なく発揮される。キャバクラで遊ぶ場合は、決して安くはない金を支払う必要がある。それでも、非日常の空間で、親しくなったキャバ嬢と一緒に飲むというエンターテインメントを求めて、客はキャバクラに通うのである。歌舞伎町のクラブに勤めていた時から、アヤネの姿勢は変わっていない。日常で溜まったストレスを晴らすために、いやがらせとも取れる態度を取っていた客にまっすぐに向き合い続けることで、自身のファンに変えたアヤネ。疑似的な恋愛関係を与えるのではなく、人間同士の誠実な関係を築いたために、他のキャバ嬢に追随を許さない伝説のキャバ嬢へと上り詰めたのだ。さらにはキャバクラを、風紀を乱す存在として営業をやめさせようとしていた市役所の役人にも、実際に接客を見せることで考えを改めさせた。どんな相手にも、正面から向き合えば誠意が返ってくるはずだということを、アヤネは教えてくれるのだ。

 特に部下を抱える立場の人間にとってアヤネの行動は、強固な信頼関係を築く参考になるはずだ。そして人生は、うまくいくことばかりではないのが常だ。そんな時には、アヤネならどう言うか、そしてどのように行動するのかと思い浮かべることで、自分にとって「誠実」な道を見出せるに違いない。

■誉田優
フリーライター・記者。ドラえもんと共に育った生粋の漫画好き。
Twitter:@yu__honda

■書籍情報
『ヒマチの嬢王 1〜5巻』
茅原クレセ 著
価格:650円(税込)
出版社:裏サンデーコミックス
公式サイト

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