NHKプラスは5G時代の「公共性のある放送/配信」となるか 書籍『放送の自由』から考える

NHKプラスは「公共性のある放送/配信」か?

「NHKプラス」は公共放送としての力量が試される

 話をNHKに戻そう。NHKは依然として公共放送であり、受信料を徴収するのだから、国民の知る権利に応える報道はもちろん、社会の基盤となるべき教養や文化についての質の高い放送を続け、そのような放送が国民にとって必要であるとの合意を得なければいけない。「NHKプラス」はあくまでも受信料契約をすでに結んでいる人向けの付帯サービスという位置付けだが、インターネット上で他のサービスとフラットに並べられる以上、「公共放送」としての違いを示す必要があるのだ。これまで以上にハイクオリティな、NHKならではの5Gコンテンツを期待したいところだが、そのハードルは非常に高いと言わざるを得ないだろう。

 結局のところ、5Gによってさらに浸透するであろう「NHKプラス」の誕生は、単に新しいインターネットのサービスというだけではなく、放送や民主主義の在り方を改めて問い直すものでもあるのだ。大きな歴史的失敗から培われた放送法の「倫理」は決して軽視して良いものではないが、今後は新しい形での「公共性のある放送/配信」が模索されるべきであろう。

■書籍情報
『放送の自由』
著者:川端和治
価格:840円+税
出版社:岩波新書

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