『鬼滅の刃』煉󠄁獄杏寿郎はもっとも重要なメンターだったーー命がけのメッセージが炭治郎たちに残したもの

『鬼滅の刃』煉󠄁獄杏寿郎の役割

メンターとしての存在意義

 たしかに炭治郎は煉獄の正式な「継子」(=「柱」が育てる隊士)ではないし、ともに戦った時間もそれほど長くはない。しかし人と人との関係は長ければいいというものでもないだろう。大事なのは、どれだけ濃密な時間をともに過ごせたかだ。そういう意味では、炭治郎はまぎれもなく煉獄の継子であった。そして煉獄が命がけで伝えてくれた、強き者は弱き者を助けて、限りある一生を懸命に生きよ、という前向きな教えは、『少年ジャンプ』をいま、リアルタイムで読んでいる若い読者たちの心にもきっと大きな何かを残したことだろう。そう――この煉獄杏寿郎という鬼殺隊きっての好漢は、炭治郎だけでなく、これからの未来を切り開いていくすべての少年たちにとってのメンターだといっても過言ではないのである。

■島田一志(しまだ かずし)1969年生まれ。ライター、編集者。『九龍』元編集長。近年では小学館の『漫画家本』シリーズを企画。著書・共著に『ワルの漫画術』『漫画家、映画を語る。』『マンガの現在地!』などがある。@kazzshi69

■書籍情報
『鬼滅の刃 8』
吾峠呼世晴 著
価格:418円(税込)
出版社:集英社

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