野村克也が語る、『もしものプロ野球論』 「野球の原理っていうのは単純明快」

野村克也が語る『もしものプロ野球論』

「もしも」また監督をやるとしたらチームは?

――今年のプロ野球を振り返ると、様々なことがあったと思うのですが、イチロー選手が野村さんと同じ45歳で引退されました。

野村:まぁイチローにも逆らえないものがあるんだよ。「時代と年齢」。これだけは誰も勝てない。

――著書にもありましたが、1995年、ヤクルト対オリックスの日本シリーズでイチロー選手を「ささやき戦術」で追い詰めたというエピソードは最高でした(笑)。

野村:マスコミを通して「イチローはインコース高めに弱い」って言って、そう思い込ませたんだ。そんなことないんだけど。いいバッターには「ささやき戦術」が最も有効だよ。3戦目からバレたけどね(笑)。

――そこはさすがイチロー選手ですね。「もしも」の話になりますが、イチロー選手と同じチームでやってみたかったと思いますか?

野村:思わない(笑)。彼はコーチ、監督になんでならないのかね? それが不思議だよ。性格に問題があるのかね?

――それはちょっと分からないですが(笑)。

野村:でも、阿部もそうだけど、一度野球から離れた方がいいよ。その方が絶対に勉強になる。自分の「野球理論」を整理するいいチャンスだよ。俺の経験からいってもそれがいい。

ーー最後に「もしも」12球団でまた監督をやるとしたら、どの球団でやりたいですか?

野村:まったくやる気ありません(笑)。今の目標は長生きだから。

(文=編集部)

■野村克也(のむら・かつや)
1935年京都府生まれ。京都府立峰山高校卒業。54年テスト生として南海ホークス(現福岡ソフトバンクホークス)に入団。3年目でレギュラーに定着すると、以降、球界を代表する捕手として活躍。70年には南海ホークスの選手兼任監督に就任し、73年にパ・リーグ優勝を果たす。78年、選手としてロッテオリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)に移籍。79年、西武ライオンズに移籍、翌80年に45歳で現役引退。27年間の現役生活では、三冠王1回、MVP5回、本塁打王9回、打点王7回、首位打者1回、ベストナイン19回と輝かしい成績を残した。三冠王は戦後初、さらに通算657本塁打は歴代2位の記録である。90年、ヤクルトスワローズの監督に就任。低迷していたチームを立て直し、98年までの在籍中に4回のリーグ優勝(日本シリーズ優勝3回)を果たす。99年〜2001年、阪神タイガース監督。06年〜09年、東北楽天ゴールデンイーグルス監督。著書に『野村ノート』(小学館)『野村の流儀』(ぴあ)などがある。

■書籍情報
『もしものプロ野球論』
野村克也 著
価格:830 円+税
判型:新書
発行/発売:ワニブックス

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