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どの時代のアルバムから聴くかによって、ティム・バックリィの音楽は期待通りにも期待はずれにもなるだろう。アーティストとしてコマーシャリズムから離れた実験的な音楽を追求したいという衝動に突き動かされたバックリィ——デビュー当時の彼は、「サイケデリックのミルクで育った逸楽の国のフラワーチルドレン」として位置づけられていた。しかし、その後発表された3枚のアルバムにはウエストコースト・ジャズの影響が見られ、彼自身のヴォーカルもドリーミィなトーンからチェット・ベイカーのような哀しいトーンへと変化をみせた。そして、ジャズへの関心がオーネット・コールマンのようなアヴァンギャルド・インプロヴィゼーションに移るにつれ、バックリィは自分自身の声を管楽器として使うことに全力を傾けるようになった。70年のアルバム『Lorca』は、ツルの鳴き声、妖精のむせび泣く声、そしてエイリアンの求愛の声と間違えられかねない奇妙な声があふれかえっている。また彼は、その命を失うまで休むことなくアーティストとしての新境地を求め続けた。それで、たとえファンを失うことになっても——。「Because Of You」のブルーアイド・ソウルから、「ゲット・オン・トップ」の艶やかさを感じるファンクまで、バックリィは常にその奇蹟の声に新しい可能性を広げてみせた。彼の残した作品には、死後もパティ・スミスやディス・モータル・コイルといったミュージシャンからリスペクトが寄せられている。

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