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「キッズのためのロック」を徹底して鳴らし続けたザ・フーは、65年に「アイ・キャント・エクスプレイン」でシーンに登場。「マイ・ジェネレイション」「キッズ・アー・オールライト」「恋のピンチ・ヒッター」など、アグレッシヴ&どキャッチーなモッズ・スタンダードを次々と生み出すと共に、熱狂的かつ破壊的なライヴを繰り広げ、たちまちシーンの頂に登りつめた。69年に開催されたウッドストックやワイト島フェスティバルでは、圧倒的なパフォーマンスを見せつけ、さらに71年には、最高傑作と名高いハードロック・アルバム『フーズ・ネクスト』をリリースする。英米ともにビッグ・セールスを記録し、世界的なへヴィ・ロック・バンドへの階段を駆け上がっていった。
また見逃せないのは、69年リリースの世界初ロック・オペラ・アルバム『トミー』や、モッズ魂と社会性をモチーフとした73年の『四重人格』などのコンセプト作で見受けられる、作家性に富んだアーティスティックな側面であろう。両作品とも後年映画化され、音源ともども大ヒットを果たし、もはや向かうところ敵なしであった。
がしかし、78年に大人気メンバーであったキース・ムーン(dr)がドラッグの過剰摂取により他界。後釜として、かつての盟友スモール・フェイセズのケニー・ジョーンズを迎え復活を遂げるが、結局かつての輝きを取り戻すことはできなかった。やはり、キースのハチャメチャ暴れドラムあってのザ・フーであったのだ。それをもっとも実感していたピート・タウンゼンド(g)は、82年解散を宣言。長い歴史に幕を降ろした。