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切なく哀愁に満ちたメロディ、ナット・キング・コールを思わせる美声……。ザ・ディアーズの音楽には、一度聴いたら忘れられなくなる魔力が潜んでいる。哀しみの中に希望の灯火がきらめくような彼らの音楽は、世界中の人の心を優しく包み、いたわる。
ザ・ディアーズはカナダ・モントリオール出身の6人組で、中心人物は褐色のヴォーカル、マレイ・ライトバーンだ。貧しい宣教師の息子として生まれ、モリッシーやデーモン・アルバーンらと同様に、グレアム・グリーンやカート・ヴォネガット、マーティン・エイミス等の作家に憧れ傾倒していったという。夜毎音楽や文学について仲間と語る酒とバラの日々を過ごした後、95年に友人とバンドを結成。00年に1stアルバム『End of a Hollywood Bedtime Story』を、01年にEP「ORCHESTRAL POP NOIR ROMANTIQUE」をリリースすると国内のインディーズ・シーンで注目を集めるようになり、02年にはギタリストとチェリストが脱退しキーボーディスト&フルーティストとギタリストが加入、現在のメンバー編成となる。そこで満を持して発表した2ndアルバム『ノー・シティー・ザ・レフト』が各方面で大絶賛され、カナダの音楽見本市<SXSW(サウス・バイ・サウス・ウェスト)>に出演、ヨーロッパ、アメリカ、日本など各国で次々とこのアルバムがリリースされていった。06年には、オペラティックなヒステリアと、毒気を含んだポスト・パンクが見事に融合した3rdアルバム『ギャング・オブ・ルーサーズ』を発表。アルバム冒頭からワクワクさせ、マレイの絶叫が胸に突き刺さるラスト・ナンバーまで一気にひた走る傑作だ。

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