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楽譜はなく、口承のみで受け継がれているというアイリッシュ・トラッド。イーリアン・パイプスとフルート、フィドルとハープ、そしてバウロン(タンバリン状の打楽器)を使って織り成すノスタルジックな音世界は、ケルト民族が乗りこえてきた苦難の歴史を想起させるのに充分な年輪が刻まれている。そして、米国に渡ったこの音楽がカントリーの基礎となり、アフリカから来たブルースと融合されてロックンロールが生まれたのである。
アイルランドが誇るトラッド・グループ、ザ・チーフタンズ。62年に結成されたというから、もうすぐ活動歴が40年になる超ベテラン・バンドだ。彼らは、トラッド音楽にロック/カントリー/フォークを加えることで新しい生命を吹きこみ、現代においても新鮮に聴かせるという挑戦を試みた。そんなアティテュードはジャンルを越えた数々のアーティストたちからリスペクトを集め、コラボレーションが積極的に行われる。——英国のソウル・シンガー、ヴァン・モリソンと共演した『アイリッシュ・ハートビート』(88年)。ウィリー・ネルソンやエミルー・ハリスという米国カントリー・シーンの重鎮たちを迎えての『アナザー・カントリー』(92年)。そして、『ロング・ブラック・ベイル』(95年)ではローリング・ストーンズ、スティング、シンニード・オコーナーといったロック・ミュージシャンと共に"ロックン・トラッド"なサウンドを披露。このアルバムはロック/ポップス・ファンにも大いにアピールし、アイルランド音楽を世界的にポピュラーなものにした。

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