Siegeの記事一覧

(0件)

世界最速バンドの一つである。
80年代初頭のハードコア・ムーヴメント以降にパンクのD.I.Y.アティテュードは進み、レコードを自分たちの手で出すことは当たり前になったが、それもできなかったバンドもいた。SIEGEも、その一つだ。しかし、アンダーグラウンドのパンク/ハードコア・ネットワークにより、ダビング・テープなどでヨーロッパにもSIEGEの音は伝わっていった。
SIEGEは、80年代の半ばを中心に活動していたボストン拠点のバンドだった。マニアの間で注目を浴びるようになったのは、パスヘッド主宰の<PUSMORT>から84年に出た、ワールド・ハードコア/パンク・コンピレーション『Cleanse The Bacteria』に参加したことだろう。この時点でSIEGEは、"ブラスト・ビート"と呼ばれる高速リズムのビート全開のサウンドだった。SIEGEはブラスト・ビートを使った最初のバンドの一つであり、影響を受けたナパーム・デスが数年後にそれを広めたのだ。SIEGEの特徴は速いだけではない。イギリスをはじめとするヨーロッパのハードコア/パンク直系と思しき、暗さと重さももっており、歌詞は当時のアメリカには珍しく簡潔な言葉での政治的な内容だ。
結局SIEGEは活動中、単独作はカセット・テープでしか出せなかった。90年代に入ってから、<LOST & FOUND>と<RELAPSE>が『Drop Dead』というタイトルのCDで、SIEGEの昔の音源を出した。一つだけサックス入りの異色の長い曲も収録されているが、それはそれでかっこよい。
なお、SIEGEが一時的に再結成したことがあり、そのときのドラムはA.C.のヴォーカルのセス・プットナムだった。そしてSIEGEのドラムだったロブ・ウィリアムスは、NIGHTSTICKを率いている。音楽的には、SIEGE時代の反動かスロー・テンポを基本に、かなりイカれたヘヴィ・ロックでファンをメロメロにするのだった。 (行川和彦)

「Siege」の記事は現在ありません。