> Brian Wilson

Brian Wilson

(ブライアン・ウィルソン)

ビーチ・ボーイズの中枢を担う男——その枕詞はブライアン・ウィルソンにとってこの上ない重圧として圧し掛かっていたのだ。ビートルズの『ラバー・ソウル』を聴き、その完成度の高さに驚嘆した彼は対抗すべく『ペット・サウンズ』(66年)を作り上げるもののセールスで惨敗、極度の精神的疲労から鬱状態に陥ってしまう。そして、これを境に約11年もの間、彼を表舞台で目にすることはなくなったのである。
その後、徐々にビーチ・ボーイズでの活動に復帰を遂げた彼は、グループ結成から27年目を迎えた88年、初のソロ・アルバム『ブライアン・ウィルソン』を発表する。ここで披露された、きらびやかで瑞々しい楽曲の数々は、海/おんなの娘/車のことを、さんさんと輝くカリフォルニアの空に歌い上げていたデビュー当初と同様の高揚感を感じさせてくれるものであった。甘く切ないメロディ・ライン、澄みきったハーモニーが溶け合い、上質なポップ・ナンバーとして響き渡ったのである。そこには、精神的に不安定な要素が多いと言われ続けてきたブライアン・ウィルソンの影はもう存在しなかった。
この作品で多くの賞賛を浴びた彼は、ドン・ウォズのプロデュースによるセルフ・カヴァー・アルバム『駄目な僕』(94年)、旧友ヴァン・ダイク・パークスとコラボレーションした『オレンジ・クレイト・アート』(95年)、『イマジネーション』(98年)と苦悩の11年間を取り戻すかのように力強く活動。”永遠の夏”を歌う男からは、もはや戸惑いの色は感じられない。

制作協力:
OKMusic

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