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Donny Hathaway

(ダニー・ハサウェイ)

マーヴィン・ゲイやカーティス・メイフィールドたちと共にニュー・ソウル・ムーヴメントの牽引者となったダニー・ハザウェイ。その死を含め、どこか悲劇的な匂いがつきまとう天才ソウル・シンガーだ。
幼い頃よりゴスペルを歌うのと同時にクラシック・ミュージックにも触れ、大学時代には正式な音楽教育を受けたという履歴からも分かるように、彼の作品には高度な音楽性とインテリ性が宿っている。ゴスペルを源流にしながらも、ジャズやクラシックなどを織り交ぜたその精緻な作風は、明らかに同時代のソウル・シンガーのそれとは異とするものだった。洗練された感情表現/管弦楽団を起用した高密度なアレンジ/多彩なコード・ワークなど、そのサウンド・クリエイターっぷりは他の追随を許さない。
しかし、ダニー・ハザウェイが一番伝えたかったことは、言葉によるメッセージに他ならない。代表曲のひとつ「サムデイ・ウィール・オール・ビー・フリー」で、同胞を優しく勇気づけるダニーの言葉に心を動かされない人間などいるだろうか。
だが、裕福な中産階級の出身でありながら、過酷なストリートに生きる人々の立場に立ち、自由や愛について歌うという矛盾が、彼の精神を蝕んでいったことは想像するに難くない。そのジレンマが彼を鬱病にまで追い詰め、自殺という悲劇的な結末を迎えさせるにまでいたったのだろう。
にもかかわらず、ゲットー・ライフの現実を詩情豊かに歌い上げたその音世界は、今もって瑞々しく、永遠の生命を宿しているかのような風情である。それは黒人社会の明るい未来を信じて疑わなかったダニーの姿、そして強い意思が、どの歌にも投影されているからに違いない。

制作協力:
OKMusic

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