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Luther Vandross

(ルーサー・ヴァンドロス)

80年代のソウル/R&B、というよりブラック・コンテンポラリーそのものの第一人者といえば、やはりルーサー・ヴァンドロスの名がその筆頭に挙がるだろう。聴いているだけで心の平安が得られる彼の歌声は、効果てき面の精神安定剤みたいなもの。まるで鼓膜を優しく愛撫するかのように、滑らかで、温かで、甘美で、そしてキメが細かく繊細な彼のヴォーカル・スタイルは、正しく絶品というひと言に尽きる。さらにシンガーの他にも、ソングライターやサウンド・クリエイターなどにおいてそのマルチな才能を発揮しているのだから、まさに怖いものナシの存在だろう。
そんな彼のサウンド陣が想起させるのは、ズバリ“都会の夜”。ゴスペル・ルーツを思わせるコーラス・ワーク、そして洗練美を標榜するアーバンな味わい……。それらが互いに溶け合い、夜のしじまに消えていく澄んだ空気のように、さり気なく、彼が持つ歌声の華を巧みに引き立てる。甘くなりすぎる一歩手前で、時にもどかしくもある“引き”を心得た狂おしいまでのバラーズも素晴らしいが、グルーヴィな華々しいミッド〜アップ・ナンバーも、これまたすこぶる魅力的だ。
03年4月に脳梗塞で倒れる以前に収録され、同年6月にリリースされたアルバム『ダンス・ウィズ・マイ・ファーザー』は全米アルバム・チャート初登場1位を記録。さらに同アルバム収録のビヨンセとのデュエット・ナンバー「Closer I Get To You」は04年のグラミー賞において4部門を制覇するなど、シーン復帰に大いなる期待が寄せられていたが、闘病生活の末、05年7月1日にニュージャージーの病院にて死去。享年54歳という早すぎる旅立ちであった。

制作協力:
OKMusic

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