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King of Luxembourg

(キング・オブ・ルクセンブルグ)

キング・オブ・ルクセンブルグはサイモン・フィッシャー・ターナーの作り出した架空のポップ・キャラクターである。「金に困らない王様が税金対策としてやっている音楽活動」という設定で、このうえなくポップでありながら屈折したヨーロッパの耽美的な美学を見事に体現し、一時代を作った。
サイモン・フィッシャー・ターナーはケント州ドーヴァー生まれ。幼いころから子役スターとして活躍、俳優としての活動とともに音楽にも興味をもつようになり、80年代初頭にザ・ザのマット・ジョンスンと出会って、本格的に音楽の道へと進む。やがて映画監督のデレク・ジャーマンと出会ったターナーはジャーマンの『カラヴァッジオ』に出演、音楽も担当しおおいに注目を集めるようになる。そしてターナーの思いつき的なアイディアを具現化する形で、インディの<エル>レーベルから発表されたのがキング・オブ・ルクセンブルグとしての1st『ロイヤル・バスタード』(87年)だった。<チェリー・レッド>のA&Rだったマイク・オールウェイが設立した<エル>は、60年代ポップの最良の部分を80年代ネオ・アコースティック的なサウンド・アプローチで再構成し、後のラウンジ/モンドに通じるノスタルジックで貴族趣味的なポップ世界を追求した特異なレーベルだったが、キング・オブ・ルクセンブルグはその象徴のような存在だった。TVパーソナリティーズ、モンキーズ、ハーパーズ・ビザール、タートルズ、PILといった60年代ポップと80年代ニューウェイヴが同居するカヴァー・センスが彼らの本質を示しており、いかにも通好みである。
その後キング・オブ・ルクセンブルグとして『サー』(88年)を発表したものの、現在ではデレク・ジャーマン作品を始めとする映画音楽家としての活動が主になっているサイモン・フィッシャー・ターナー。またキング・オブ・ルクセンブルグでの独自なポップ世界への復帰を切望したい今日このごろである。 (小野島 大)

制作協力:
OKMusic

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