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84年の「99 LUFTBALLONS（邦題は「ロックバルーンは99」）」の爆発的ヒットで一躍ポップスターの頂点に君臨したネーナ。一度聴いたらやみつきになる、やたらと耳なじみのよいメロディ・ラインとゴムまりのようにバウンドするビート感をもったこのナンバーは、ドイツ語でありながら見事に全米チャートを制した。
ドイツ・ベルリン出身の５人組で、バンド名は紅一点のヴォーカリスト、ネーナ・ケルナーから名付けたもの。カラフルなキーボードが魅力の元気ハツラツ・サウンドを十八番としたが、その後のシングル・ヒットには恵まれず、シーンからはすぐさまフェイドアウトしてしまった。しかしながら、ギターのカルロ・カーゲスによる国政に目配りした硬派な歌詞（サウンドからするとやや意外だが）、思いのほかドスの利いていた歌声は、アルバムを通して聴いてみても"骨太でいてキュート"というユニークなニューウェイヴ感覚にあふれている。
——バンドは壊滅しても、「99 LUFTBALLONS」とネーナの自由の象徴である（？）ワキ毛がもたらしたインパクトは、80's世代の胸中には強く刻みつけられているであろう（たぶん）。