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ビヴァリー・ヒルズ育ちのお坊ちゃま。その爽やかなイメージから、ここ日本では“使える”音楽として絶大な支持を得てきた。何せ彼のアルバムには、あの今井美樹がコメントを寄せていたくらいだから……。しかし、そういった表層的な部分にばかり目が行くと、この人の本質を見誤ることになる。人の良さそうなルックスとは裏腹に、頑固で職人肌なのだ。その不器用さが災いして作品のお蔵入りの多さやリリース数の少なさにつながっているのかも知れない。
ネッド・ドヒニーのもち味は、青さの残る繊細なハイトーン・ヴォイスと、アコースティック・サウンドをベースにしながらグルーヴィな楽曲。元来ブラック・ミュージックに影響を受けているだけに、サウンドのそこかしこからソウル〜ジャズ風味がほんのりと匂い立つ。チャカ・カーン、ミリー・ジャクソン、ジョージ・ベンソンら黒人アーティストにカヴァーされたのも頷ける話だろう。なかでも、ブッカー・T.&THE MG'Sのスティーヴ・クロッパーをプロデュースに迎えた『ハード・キャンディ』(76年)は傑作。16ビートにのってサマー・ブリーズのようなメロディが流れ出す瞬間が何とも美しい。
しかし、その後に制作されたいくつかの作品は、日本のみの発売という悲しい状態が続く。どれも良質な作品だけに、評価の低さが惜しまれるところだが、最近のフリー・ソウル人気やAORブームでドヒニーにスポットが当たるのは喜ぶべきことだろう。

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