寺井尚子の記事一覧

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クラシックに裏付けされた確かな演奏技術をもちながら、ジャズのニュアンス/グルーヴ感もシッカリと聴かせてくれるヴァイオリニスト、寺井尚子。これまでの中西俊博(vln)や葉加瀬太郎(vln)といった男性アーティストとは一線を画し、女性ならではの母性的温かさが魅力。一見(いや一聴?)ジャズというよりポップな感じを受ける演奏も多いが、それは既存のジャズ・フレーズというより彼女自身の言葉(フレーズ)を用いているからだろう。その下地は幼少のころからはじめたクラシックにあるようだ。
ヴァイオリニストが小さい頃から英才教育をうけるのはよくある話だが、彼女も4歳でバイオリンを開始。ただ一時期、腱鞘炎により休養をとる。その間に出会ったのがビル・エヴァンス(p)の『ワルツ・フォー・デビー』であり、彼女がジャズに目覚める直接的なきっかけとなったという。20歳にプロ・デビュー後、幸運にも93年に来日中のケニー・バロン(p)と共演。バロンの高い評価を得た(また、彼のアルバム『シングス・アンシーン』にもゲスト参加)。
98年に初めてのリーダー・アルバム『シンキング・オブ・ユー』を発表。このアルバムは「ドナ・リー」や「ストールン・モーメンツ」などジャズ・スタンダードを多く含んでいる。また、99年に発表した2nd『ピュア・モーメント』では、「スペイン」などのスタンダードはもちろん、スティングの「フラジャイル」や宇多田ヒカルの「ファースト・ラブ」なども演奏しており、彼女の遊び心が満載のアルバムとなった。
以降もレパートリーのジャンルを限定することなく幅広いジャンルから選び、コンスタントにアルバムをリリース。一作ごとに表現の幅を広め、特定の楽器/音楽ジャンルを超えた豊かな音楽世界を表現し続けている。

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