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05年現在、ヒップホップ・シーンで誰が一番クリエイティヴィティに満ちた創作活動を行っているかと訊かれたら、多くの人がこの名前を挙げるに違いない——マッドリブ。彼は才気と発想力に溢れる偉大なアーティストである。
US西海岸の町オックスナードで生まれたマッドリブは、小さい頃から音楽に親しみながら成長した。叔父はジャズ・トランペッターのジョン・ファディス、父親は元R&Bシンガーなのである。青年になってもマッドリブは、レコードを掘ったり、ドラムやサンプラーを叩いたり、常に音楽と密接な関係を維持していた。その後、幼なじみとともにラップ・グループ=ルートパックを結成。ワイルドチャイルド、DJロームズも名を馳せるトリオである(かつてはカンキックも所属)。
そのルートパックとしてアルバム『サウンドピースズ:ダ・アンチドート』を発表したあと、マッドリブは主にソロで活動し始める。ひとりで自分らしいサウンド・デザインと創造性の上手い活かし方を探っていた(もちろん膨大な量のレコードも探していた)マッドリブは、インディ・レーベル<STONES THROW>を主宰するプロデューサー/DJのピーナット・バター・ウルフと出会う。すると間もなく、マッドリブは同レーベルからヒップホップ・クラシックとも評される名作『アンシーン』(00年:彼のオルター・エゴ=カジモト名義作)をリリース。そのユーモア性と実験性に溢れる内容は、一躍マッドリブをアンダーグラウンド・シーンの気鋭アーティストに押し上げる結果を生んだ。
彼のその後の猛攻は追うだけでも大変なのだが、ひとり5役で架空のジャズ・クインテット=イエスタデイズ・ニュー・クインテットで『エンジェルズ・ウィズアウト・エッジズ』(01年)などを発表したり、ジェイ・ディーやMF・ドゥームとコラボ・アルバムを発表したり、<BLUE NOTE>音源のリミックス集『シェイズ・オブ・ブルー』(03年)やブロークンビーツ快作『テーマ・フォー・ア・ブロークン・ソウル』(04年)や数々のミックスCDを発表したり、甚大な量の外注依頼プロデュース・ワーク(実弟のオー・ノー、ディクレイム、ワイルドチャイルド、MEDなどに対して)をこなしたり……している。これらですべてを列挙できたわけではない。そのことからもこの天才革命児が多作家であることが分かるだろう。ともあれ、マッドリブは00年代を代表するヒップホップ・アーティストなのである。

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