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我々日本人はどういうわけかハスキー・ヴォイスが大好きだ。特にジャズ・ヴォーカルのCDの帯には大抵"美人でハスキーな歌声"云々と、リスナーの購買欲をそそる売り文句が堂々と輝いている。
そこでジューン・クリスティの登場となる。25年11月20日イリノイ州スプリングフィールド生まれの彼女は、ローカル・バンドなどで下積みを重ね、ボイド・レイバーン楽団を経て45年に運良くアニタ・オデイの後任としてスタン・ケントン楽団入りを実現。そのハスキーで粋な歌い回しは小気味良いほどスウィングする。あえて"江戸っ子唱法"と呼ぼう!
当時のケントン楽団は名編曲者ピート・ルゴロを擁し、他の楽団とは異なったモダンでクールな都会的サウンドを誇っていた。
しかし49年、同楽団の解散と共に、クリスティは夫のボブ・クーパー(ケントン楽団のテナー奏者)と独立。53年にピート・ルゴロの力を借りて<キャピトル>へ名盤『サムシング・クール』を吹き込む。この人気盤は白人ジャズ・ヴォーカル・アルバムの10傑に入る。旧盤はモノラル録音だが、新盤はステレオ録音するほどの力の入れようだ。ジャケット・デザインも異なるので注意。
彼女の代表作は<キャピトル>時代のものに集中する。たとえば『ザ・ミスティ・ミス・クリスティ』、ケントンのピアノ伴奏のみで歌った『デュエット/クリスティとケントン』、『ビッグバンド・スペシャル』など快作が多い。
惜しくも90年6月21日没。しかし、ハスキー・ヴォイスはこれからも永遠に不滅なのだ。 (山本晋平)

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