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僕にとって、ピーター・ケイスの『ピーター・ケイス』とジョン・ハイアットの『ブリング・ザ・ファミリー』は、80年代のシンガー・ソングライター作品の中ではベスト! 特にライ・クーダー/ジム・ケルトナー/ニック・ロウといった百戦錬磨の猛者たちが、ハイアットをサポートした『ブリング・ザ・ファミリー』は、今でも時たま、レコード棚から取り出してきてターンテーブルに乗せる愛聴盤だ。シンプルながら骨太で滋味に富んだ演奏にのったナイーヴかつエモーショナルな歌が、干からびた心を潤してくれる。
ハイアットの出発点は職業ソングライターだが、70年代に、エルヴィス・コステロやニック・ロウといった英国のアーティストに刺激を受け、ソロとしての活動を開始。が、アルバムをリリースするものの鳴かず飛ばずの状態が長〜く続き、自身のアルコール中毒に加え、最愛の妻も自殺するという最大限の不幸に見舞われた。しかし、この事件をきっかけにアルコールを断ち、心機一転して録音されたのが前述の『ブリング・ザ・ファミリー』(87年)だ。これが起死回生の一作となり、シーンに復帰したハイアットは、スライド名人、サニー・ランドレスをフィーチャーした『スロウ・ターニング』(88年)やリトル・フィートを始めとするさまざまなゲストが参加した『ストールン・モーメンツ』(90年)などの傑作を次々とモノにする。また、『ブリング・ザ・ファミリー』セッションから発展したバンド、リトル・ヴィレッジでの活動も話題を集めた。
現在もマイ・ペースながら良質なアルバムを発表しているハイアット。辛酸を舐めた男だけがもつ力強さと、その隙間からこぼれ落ちるメランコリーが彼の歌の魅力といえるのではないだろうか。

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