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笑っているような泣いているような顔で熱唱する、ズバリ、それがソウル・シンガーの基本スタイルである。そういうえもいわれぬ感情的なフェイスっぷりに、聴き手は胸をギュッと締めつけられるのだ。そして、人生の酸いも甘いも知り尽くしたかのような“哀愁”を滲ませるジェイムズ・カー。人は彼を「No.1ソウル・シンガー」と呼んで疑わない。
彼のことを深く知りたければ、60年代の<GOLDWAX>時代音源を聴くに尽きる。特にアルバム『ユー・ガット・マイ・マインド・メスド・アップ』(67年)は不滅の名盤だ。ミシシッピの泥水を吸い取ったようなコクのある演奏に乗って繰り広げられるディープな名唱の数々に、サザン・ソウルのすべてが集約されているといっても過言ではない。
所属レーベル倒産後は細々とローカル活動に終始し、キャリア全体を通して残した録音物こそ少ない。しかし、それらの作品群はロック世代にも大いにアピールし、エルヴィス・コステロは「プアリング・ウォーター・オン・ア・ドロウニング・マン」を、フライング・ブリトウ・ブラザーズやプライマル・スクリームは「ダーク・エンド・オブ・ザ・ストリート」を巧妙にカヴァーしてもいる。
だが、01年に惜しくも58歳の若さで他界。今宵もカーのソウルを肴に感傷に浸るとしよう。

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