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「天才と狂人は紙一重」——この言葉をそのまま体現するかのような人生を送った奇才ピアニスト、ジェイムズ・ブッカー。奇行のエピソードは数知れず、片目にアイ・パッチをした独特のルックスで、ニューオリンズ出身のミュージシャンのなかでもひときわ異彩を放っていた。
まともなオリジナル・アルバムが残されていないのは残念だが、ライヴ録音や客演作品からは、その尋常ならざる天才ぶりが、はっきりと伝わってくる。正確無比な指使い、ニューオリンズ・ファンクを地でいくようなリズム感、そしてピアノの音色の力強さは、他の追随を許さない存在感と言えよう。R&B/ブルースからショパンなどのクラシックに至るまで、幅広いジャンルをレパートリーとして消化してしまう能力には、開いた口がふさがらない。
エキセントリックな性格が災いして、メインストリームには昇り詰めることができなかったブッカー。彼が残していったものは、作品ではなく、後続のピアニストたちのなかに綿々と息づいている"クレセント・シティ・スピリット"だ。

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