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“愛すべきB級テナー”という、ありがたくない称号を貰っているハンク・モブレー。スモーキーなトーンと、朴訥とした語り口が特徴のテナー・マンだ。上手とはお世辞にも言えないが、不器用で野暮ったいところがタマラナく魅力的で、アメリカの広大な大地を彷彿とさせる。
ハード・バップの代表選手といえるモブレーの人気は、シーンの盛衰に比例していた。50年代中盤、ザ・ジャズ・メッセンジャーズでの活躍で好評を博した後、『ソウル・ステーション』(60年)、『ワーク・アウト』(61年)という代表作をリリース。おおらかな風情とR&B畑のファンキー・フレイヴァーを湛えたプレイで人気爆発となった。不幸なのは、マイルス・デイヴィスの『サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム』(61年)におけるジョン・コルトレーンとの共演かもしれない。この頃のマイルスはモードに傾倒しはじめ、コルトレーンはその旗手であった。直接彼と比較されたバップのモブレーは“イモなテナー”の烙印を押されてしまうのだ。しかしコレは、両者のハッキリした“個性の表れ”だともいえる。
その後、アメリカ本土での人気は落ちてしまい、晩年は隠居同然の生活をおくりながら86年に永眠した。しかし判官贔屓なのか、日本での人気は非常に高い。モブレーが残した数々の名演はジャズの遺産であり、今後も語り継がれていくべきモノである。

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