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US南部において、ここまでヒリヒリとした緊張感を生み出すラップ・グループは、彼らの他にはないだろう。デンジャラスでスリリング、それがファンタスティックだ。
91年にプラティナム・セールスを果たしたアルバム『ウィ・キャント・ビー・ストップト』をリリースした、スカーフェイス、ウィリー・D、ブッシュウィック・ビルの3人組=ゲトー・ボーイズは、(「ウィ・キャント・ビー・ストップト」と言いながらも)93年のアルバム『ティル・デス・ドゥ・アス・パート』を機に分解。だが、96年には再結成を『ザ・リザレクション』で果たした。
もともとは86年に、上記の3人とはまったく違うメンツで結成されたゲトー・ボーイズ。かつて在籍していたリル・Jが(グループに属すダンサーだった)ブッシュウィック・ビルとDJアクシュン(のちのスカーフェイス)、ウィリー・Dを呼んで、徐々にかたちが形成されていったわけだ。ちなみにこの4人で1枚のアルバムをヒットさせている。でもって、当時は“Ghetto Boys”を名乗っていたが、そのメンバー改編にともない“Geto Boys”に改名した。
そしてリル・Jがグループから抜け、上記の傑作『ウィ・キャント・ビー・ストップト』がリリースされたわけだが、このジャケットに注目して欲しい。そこにはガールフレンドに銃で目を打ち抜かれ、病院に他のメンバーの手によって搬送されているブッシュウィック・ビルの姿が。なんともショッキングなジャケットである。
その後、片目のビルがゲトー・ボーイズから脱退する。が。これも上記の通り、『ザ・リザレクション』でリユニオンされるわけだ(ビルが復帰するまではビッグ・マイクが加入していた。このメンバーで2枚のアルバムを残している)。でもって、またビルが抜け、その穴にDMGが入り『ダ・グッド,ダ・バッド&ダ・アグリー』(98年)を発売。セールス的にはあまり振るわなかったので、しばらくゲトー・ボーイズは日陰の身になってしまう。
そしてひとつの事件が起きるわけだ。つまり、05年にビルが復活、このオリジナル(ではないか)メンバー3人のリユニオン作『ザ・ファウンデーション』が完成したのである。その内容は、無骨で冷徹で重厚で威圧的で残虐的で威嚇的……。ここまで“オレ流”が貫かれていると、もはやセクシーですらある。ぜひともこの非の打ちどころのない、デンジャラスな香りを味わっていただきたい。
でもって、風格のある声で不穏かつ巧みなストーリーテリングを繰り広げる、南部No.1リリシスト=スカーフェイスのソロ・アルバムなどにも食指を伸ばしていただければ幸いだ。

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