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アルゼンチン生まれのサックス奏者、ガトー・バルビエリは12歳の時にチャーリー・パーカー(sax)の演奏に衝撃を受けてクラリネットを始め、その後すぐにアルト・サックスに転向、地元の人気グループであったラロ・シフリン(p)のオーケストラに参加し、その評価を高めていった。50年代後半にはテナー・サックスに転向して自身のバンドを率いるようになり、活動の拠点をヨーロッパへ移す。63年にドン・チェリー(コルネット)と出逢い、60年代のヨーロッパを席捲していたフリー・ジャズの波に乗ってシーンにその存在を印象付ける。この時期のプレイは自己名義のアルバムはもちろん、カーラ・ブレイ(key)の『エスカレーター・オーヴァー・ザ・ヒル』などでも聴くことができる。
70年代に入ると、バルビエリは次第に方向転換を図り、故郷である南米の民族音楽のリズムや和声を積極的に取り入れるようになっていく。この時期、<Impulse>からリリースした4部作『チャプター』など一連の作品での清冽なサウンドは、一気にバルビエリの名声を高めていった。
そして72年、さまざまな物議を醸しだした映画『ラスト・タンゴ・イン・パリ』のサウンドトラックを手がけたことがきっかけで、バルビエリは国際的なスターの仲間入りを果たす。その後、70年代には<A&M>から軽めのラテン・ジャズ作品をいくつか発表した他、<Fania><CBS>などのレーベルで作品を残すなど精力的な活動を続けるが、私生活や健康上の問題から90年代はほとんど表舞台から姿を消してしまった。しかし、97年、<Sony>より『ガトー・イズ・バック』をひっさげて復活を果たし、99年には『チェ・コラソン』を発表している。
バルビエリのサウンドは、基本的には若い頃に憧れたジョン・コルトレーン(sax)のスタイルに根ざしながら、その一方で自らのルーツであるラテン・サウンドや先鋭的なアヴァンギャルド・ジャズと、実に多彩な響きを聴かせる。その演奏の濃密なエモーションはどんなスタイルであろうと、聴く者の魂を揺さぶらずにはおかない。 (近藤 陽)

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