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高柳昌行 New Direction

(タカヤナギマサユキ・ニュー・ディレクション)

実験室——。薄明かりの部屋の中、手術台のような飾り気無いテーブルの上に並べられたギター群。それに寄り添うようにシンセ/弓/金属片/モーター、あらゆる無機質なモノが横たわる。傍らには、黒いサングラス+キャップの男が不敵な笑いを浮かべて立っていた……。
その男こそ、日本における“ノイズ”の第一人者、高柳昌行(g)だ。そして、彼が54年に始動させたニュー・ディレクションは、ソロで培ったサウンド論をグループで試す“音楽研究所”だった。漸次投射(時間を軸にしたサウンドの流れ、いわば横の変化)と、集団投射(瞬間を軸に集団で重ねるサウンドの厚み、いわば縦の変化)という彼の方法論の下、メンバー/名称を変えながらも、常に最先端の音を目指して発展していく。高柳は、音楽の速度/密度に気を配りながら、あるときは率先してテンションを最高潮にまで昇華させ、またあるときは全てを包括するように大きなウネリを生み出し、なだめ、クール・ダウンさせる。常にニュートラルな精神を保ち、どのような状況にも臨機応変に対応し、その場の“空気の質量”さえコントロールしていたのだ。他のメンバーも負けずに応酬・呼応し、次々と異空間を創り出す……。
さまざまな問題作を発表したが、初期の名盤『銀巴里セッション』(63年)は、ノイズ/フリーの金字塔として未だその輝きを失うことがない。

制作協力:
OKMusic

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