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「生まれるのが早すぎた」と評される数少ない作曲家の1人である、フランス生まれのエリック・サティ(1866—1925)。その類まれなる才能と前衛性ゆえ、生前は人々に理解されることなく、貧困の中その生涯を閉じることとなった悲劇のアーティストでもある。彼はパリ音楽院でアカデミックな音楽教育を受けたこともあったが、基本的には独学で作曲法を習得。そのため、ジャンルの枠にとらわれることからも、大衆を意識した作品を制作することからも逃れ、既成のルールに縛られない独自の音楽を追求できたのだった。
ワーグナー、そしてドビュッシーの印象派音楽全盛の時代に、ドライで皮肉なウィットに富んだ楽曲を呈示したサティ。一見軽く奇抜なメロディの奥には深いテーマが潜んでおり、そのスピリチュアルな世界が胸に響く。なかでも「Trois Gymnopedies」はギリシャの精神鍛練を表現した作品で、最も有名な1曲と言えるだろう。また「Vexations」は、ジョン・ケージに演奏されたことでもよく知られているが、この曲は152の音符で構成されたメロディを840回繰り返すというもので、演奏時間はなんと18時間以上にもなる。このようなおそるべき独自性が、20世紀アヴァンギャルド・ムーヴメントのゴッド・ファーザー的存在として未だ彼がリスペクトされているゆえんだろう。

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