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トム・クルーズ主演の『ザ・ファーム 法律事務所』(94年)という映画のBGMは、殆ど全編ピアノ・ソロである。「さすがピアノは小さなオーケストラ。それにしても誰だろう」と感心していたのだが、それがこのデイヴ・グルーシンだった。
グルーシンは映画音楽作家として高い人気と評価を獲得している男。前出のタイトルをはじめ『天国から来たチャンピオン』(78年)、『黄昏』(81年)はオスカーにノミネート、『ミラグロ〜奇跡の地』(88年)ではアカデミー作曲賞を受賞するなど、その秀作は枚挙にいとまがない。
若手の頃は、ベニー・グッドマン楽団/サラ・ヴォーン/カーメン・マクレエ/サド・ジョーンズなどと共演する、いわゆるジャズ・ピアノ/キーボード奏者だった彼。66年にTV番組の音楽を手がけたことを発端に、目をみはるような勢いで活動の幅を広げていく。クロスオーヴァー/フュージョンにも傾倒し、西海岸のボブ・ジェームスと並ぶ気鋭アレンジャー/プロデューサーとして名を馳せる。そして78年には<GRP>を設立、このレーベルにはフュージョン界のスターがキラ星のごとく在籍した。
「音楽以外の全てのことに興味がある。山や魚釣り、スキー……それに環境問題もね」と語るグルーシン。そういった、人生を当たり前に楽しんでいる感性が音楽に活かされている気がしてならない。“音楽が全て”のアーティストがもつ“押しつけがましさ”がなく、サラっと明るく表情豊かな世界が広がっているのだ。——いうなれば“輝いた音楽”。これが一番しっくりあてはまる言葉かな。

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