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70年代半ばにシカゴの郊外から登場したチープ・トリックの親しみやすいパワー・ポップは、当時のロック/ポップ・シーンにあふれかえっていた、生きた化石のようなバンド(ザ・フーやレッド・ツェッペリン)、ニヒルなパンクス(セックス・ピストルズ)、ダサいディスコ・グループ(ビー・ジーズ)の中で異彩を放っていた。ロビン・ザンダーのセックス・アピールと疾走感あふれる歌声、そしてリック・ニールセンが好んだ爆音ギターのフレーズがひとつになり、バンドは長きに渡って商業的成功を収める。そのキャリアが大きく前進したのは70年代の終わり頃にライヴ・アルバム『at 武道館』がマルチ・プラチナム・レコードというヒット作になってからだった。「サザン・ガールズ」「甘い罠」といった今や伝説的なヒット曲は凄まじいほどの白熱ぶりで盛り上がり、ビッグ・スターとラズベリーズの解散以降は停滞気味だったアメリカのパワー・ポップ・シーンを再び覚醒させる。チープ・トリックはこれらのバンドの卓越したメロディ感覚を受け継ぎ、さらに、それまでのバンドでは考えられなかったほどアンプの目盛りを上げたのだった。例えば「サレンダー」などはリプレイスメンツ以降もっともうるさくキャッチーな曲であった。バンドは数十年を経てもなお活動中であり、80年代の活動休止状態など不遇の時代を乗り越え、90年代にはパワー・ポップの炎を絶やすまいとする多くの若手バンドたちから尊敬と共に迎えられた。

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