Art Ensemble of Chicagoの記事・ニュース・画像一覧

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ロスコー・ミッチェル・カルテットを前身とし、レスター・ボーイ(trumpet)、ロスコー・ミッチェル(sax)、ジョセフ・ジャーマン(sax)、マラチ・フェーヴァーズ(b)、<69年にはドン・モイエ(dr)が加入>をメンバーに擁するAEC(アート・アンサンブル・オブ・シカゴ)は、AACM(Advancement of Creative Musicians)プロジェクトでの出会いがきっかけとなり、68年に結成されたバンドである。彼らは担当楽器以外にも、口笛やベルでの巧みなパーカッション/フルート/オーボエ/クラリネットといった管楽器を取り入れ、すさまじい即興演奏を展開。フリージャズ・シーンにありながらもそのカテゴリーにとらわれず、ニューオリンズ、ブルース、アフリカン・ミュージック、ロックなどあらゆる要素を巧みに織り交ぜ、唯一無二なサウンドを生み出した。
アメリカで名声を得た後、69年に活動の拠点をパリへと移し、2年間の滞在中になんと14枚ものアルバムを制作——。この時期に彼らのバンドとしてのオリジナリティが確立されたと言えるだろう。また、そのパリ時代の代表作『The Spiritual』のタイトル・トラックは、60年代の伝統的黒人音楽に対する新しい解釈を呈示したと同時に、アメリカにおいての黒人の地位向上を象徴した作品となった。常に社会・政治問題への高い関心を示したライヴ・パフォーマンスも素晴らしく、さらにそれをパロディ調に軽く仕上げていたセンスはあくまでも粋である。
アメリカ帰国後も精力的にアルバムをリリースし、セシル・テイラーやブラス・ファンタジーとの共演を重ねるたびに新たな側面を見せ、その魅力を遺憾なく発揮。メンバー・チェンジを行うことなく活動を続けてきた彼らだったが、惜しくも99年にレスター・ボーイが死去。——今となっては彼らの熱気溢れるライヴを見ることはできない。

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