LiSAがステージに刻んできた音楽と人生 歴代ライブと共に辿る、“ロックヒロイン”の軌跡

LiSAがステージに刻んできた人生

 LiSAのライブはすごい。ファンの一体感、まさに文字通りの「熱狂」的な盛り上がりも無論すごいが、LiSAの歌は圧倒的にすごい。鋭く的確にピークポイントを撃ち抜いていく正確無比なスキルも、あらゆる修飾を無化させる凄まじい身体性も、LiSAほど完璧にライブという形態で表現しきっているアーティストは他にいない。そのLiSAが刻んできた珠玉のライブたちが、このたび一気にオンエアされるという。僕はそのすべてを現地で観てきたが、今あらためてこの凄みに触れることができるのは素直に嬉しい。

 昨年9月から12月まで行われた最新ツアー『LiSA LiVE is Smile Always~COCKTAiL PARTY~』国立代々木競技場第一体育館2DAYSをはじめ、2017年からのライブの数々がオンエアされる。つまり、LiSAが「LiSA」として大ブレイクしていく過程、そしてコロナ禍を経ての今に至るまで、その足跡のすべてを、圧巻のパフォーマンスを通して知っていくことができる。それぞれのライブのガイドにしてもらえたらと思い、LiSAとともに、無敵のロックヒロインの「来た道」を辿る。(小栁大輔)【最終ページに読者プレゼントあり】

「この“LiSA”としてやり続けたい」30歳での覚悟が宿る『LiTTLE DEViL PARADE』

LiSA撮り下ろし写真

ーー今回WOWOWでLiSAのライブを含めた特集が、なんと5カ月にわたって連続でオンエアされるということで。オンエアされるのは、2017年の『LiSA LiVE is Smile Always~LiTTLE DEViL PARADE~』、2020年、コロナ禍で行ったオンラインライブ『LiSA LiVE is Smile Always~ONLiNE LEO-NiNE~』、2021年の『LiSA LiVE is Smile Always~LADYBUG~』、去年武道館で行った『LiSA LiVE is Smile Always~iSCREAM~』、そして去年9月から12月まで行った最新のツアー『LiSA LiVE is Smile Always~COCKTAiL PARTY~』という。すごいんだけども、見事にLiSAの足跡を追っていくうえで重要なライブの数々になっておりまして。『LiTTLE DEViL PARADE』はもう7年も前なんだね。

LiSA:30歳の誕生日(6月24日)にやったんですもん(笑)。

ーーそうだったね。さいたまスーパーアリーナ。

LiSA:しかも、最新のツアー『COCKTAiL PARTY』にもつながりますけども、白い服を着て、「シルシ」を高い場所で歌いましたからね。「シルシ」の思い出を語ってくれる人は、『LiTTLE DEViL PARADE』の時のことを話してくれます。『COCKTAiL PARTY』で映像を作ってくださったスタッフさんの方も、私のライブで初めて感動したのは、さいたまスーパーアリーナでの「シルシ」だったとおっしゃっていて。(映像を作ってもらう時も)あの時の「シルシ」を思い出してもらえるような「シルシ」にしたい、という話をしました。

ーー当時のあの白い衣装は、「30歳おめでとう!」みたいな意味合いだったの?

LiSA:たぶん違います(笑)。なんでだったんでしょうね? でも、そもそも、「シルシ」のMVも全体的に白っぽいんです。『LiTTLE DEViL PARADE』の時は、白くて長いワンピースで、そこに(プロジェクション・)マッピングをしていて。長い布に囲まれていて。山の上に立ってる、みたいな。スカートの裾に、マッピング用の映像が映っていて、美しかったんですよね。

ーー『LiTTLE DEViL PARADE』が、LiSAにとって初めてのアリーナツアーだったんだよね。

LiSA:ツアーという意味では、いちばん大きかったですね。神戸、名古屋、埼玉でした。

ーーどういう心境で挑んだツアーだった?

LiSA:今とは進み方が違っていて。「Catch the Moment」という曲をもってーー自分がゴールを目指して「いつ終わるのか」を考えながら活動していたのがそれまでの期間だったんですけど。30歳を迎えた時に、「やっぱり生きていきたい」「この“LiSA”としてやり続けたい」と思った。その気持ちを受けて行なったツアーが、『LiTTLE DEViL PARADE』でした。30歳って、やっぱり一回考えるんですよね、節目として。

LiSA撮り下ろし写真

ーーそうだね。考えるよね。

LiSA:先を見つめた時に、今の自分で、今の“LiSA”をちゃんとやりたいと思ったのが、30歳のアリーナツアーだったんですよね。武道館でライブをやって、幕張メッセでもやって、横浜アリーナでもやって、その次にさいたまスーパーアリーナでライブをやる。順序をちゃんとなぞって、少しずつ大きくしていったから。ライブハウスでのライブもすごく好きだし、ホールも好きだし、エンターテインメントがたくさんあるアリーナのライブも好きで。全部別物だと思っているんですけど、当時はアリーナツアーを作りたくて。単発だとできないことが、ツアーならできる。『COCKTAiL PARTY』もそうだったんですけど、単発だとなかなかできないことも、ツアーができるようなアーティストになれば、やりたいことをやらせてもらえるだけの説得力が生まれる。その挑戦が最初にできたのが、このツアーでした。

ーーやっぱり30歳の節目はあるよね。特にLiSAの場合は、極めて優れた身体的なエネルギーをもとに突っ走ってきたところもあったからね。変化が訪れるとしたら「そろそろだ」と。そういう話を何度もしてきたよね。

LiSA:身体の変化を感じたのが、27から31歳あたりで。自分の身体が変わって、「大人になるってこういうことなんだ」ということがわかって、少しずつ実感していったのが30歳だったから。そこでLiSAの戦い方をもう一度定める必要がありました。

ーーどこかで美しい終わり時を探している感じもあったよね。

LiSA:「Catch the Moment」の時は、終わり時を探していましたね。「どこで終わろうかな?」って。

ーーそう考えると、『LiTTLE DEViL PARADE』は、どこで終わろうかと考えていたLiSAが「変化をしながら続けていくんだ」と思えた、始まりのライブ、ツアーだったのかな。

LiSA:うん。規模が大きくなると、関わってくださる人が増えるじゃないですか。『LiTTLE DEViL PARADE』はタイトルの通り“パレード”だったし、各地のダンススクールの子たちも含めて、人数としてもたくさんの方たちがステージに携わってくれて。そこで、みんなが荷物を一緒に持ってくれる感覚をちょっとずつ覚えてきた。甘えられるようになったというか。みんなにも、預けられるライブでした。

ーーそうだったよね。すごく覚えてるなあ。ライブ自体、すごくかわいかったよね。

LiSA:ダンサーちゃんたちもデビルに扮して、パレードしてましたね。

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