ALI、“自分たちだけの音楽”を研ぎ澄ませたバンド同士の熱い共演 BRADIOを招いた『JUNGLE LOVE 2022』レポート

ALI、『JUNGLE LOVE 2022』レポ

 ALIが11月1日、渋谷・Spotify O-EASTでツアー『JUNGLE LOVE 2022 - ALI vs BRADIO -』のファイナル公演を開催し、約1時間に詰め込んだ15曲のステージで会場を魅了した。

 本ツアーは、ALIが以前から近しいと意識していたというBRADIOを誘って企画されたもの。2年前にBRADIO側からオファーしたこともあったそうだが、この度が念願の共演となった。東名阪をめぐるツアーの千秋楽となるのが東京公演ということで、集大成としてのステージに期待が集まっていた。

 先行したのはBRADIO。「全員まとめてパーティの向こう側につれていってやるぜ!」とサポートメンバー2人を交えた、特別なセットリストを披露する。BPMの速いダンサブルなロックを中心に盛り上げ、熱気をALIに繋げた。

ALI対バンライブ評(サブ)
BRADIO

 入れ替わり、今晩の主役・ALIのLEO(Vo)、CÉSAR(Gt)、LUTHFI(Ba)の3名がバックバンドとともに登場。今回の演奏をサポートするのは、JIN(Key)、bobo(Dr)、Hitoshi Yaka(Sax)、Akihiro Nagata(Tp)、Kassy(Trb)、IMANI(Cho)の6名となる。

 静寂を切り裂くようにホーンセクションが響く。誰しもが聴き覚えのある「仁義なき戦いのテーマ」、そしてテンポの速いインスト曲「Dance You, Matilda」でトランペットとギター、ベースのソロをフィーチャー。そしてLeoが「渋谷!」と呼びかける。黒でまとめたナロータイに細身のスーツ、そしてミディアムロングなヘアスタイルが艶やかかつロックだ。レイクの瞬間に彼が続けざまに叫ぶ。

「ALI、始めます!」

 ここまでがイントロだ。

 続く初球はブルース形式のレトロなラテン曲「I Want A Chance For Romance」のカバーを無骨に披露、さらにギターの単音カッティングから企画タイトルに冠した「Jungle Love」へ。ベースの低音が空気を揺らし、その周波数より上の帯域でファンキーなホーン隊の音がビリビリと鳴る。

ALI対バンライブ評(サブ)

 序盤のラッシュはさながらロンドンのライブハウスを思わせた。サキソフォンがソロを飾る「VIM」は激しいラテンでフロアを熱帯に誘い、ロックンロールな「TEENAGE CITY RIOT」ではメンバー自身も踊りながらパフォーマンス。ブリッジに当たる曲が落ち着く部分では、オーディエンスもクラップで曲を盛り立てた。

 LEOのタイトルコールで始まった「One Step Beyond」は観客を揺らすスカ、BPMを落とした「FOUND BLUE」は青の照明とともにクールに魅せて収束。

 ここでLEOがMC。

「最終日ということで、ありがとうございます。Spotifyなどで関連するアーティストとして挙がってきて、色々な人に『いつかBRADIOと共演してください』と言われていました。僕らからオファーしたら『ぜひ』ということで、ありがたく思います。先輩だけど、仲間として遊んでいきたい」

 さらに来年2月のワンマンツアー開催もアナウンスされ、会場からは大きな拍手が起きた。

「俺たちのメッセージは、音楽に性別も国籍も肌の色も関係ないってこと。職種やアフロか天パかかも関係ない。それを伝えたくてやっています。音楽や物は溢れている時代ですが、心はひとつも変わりません。その心と人生を3分の曲や30分のライブで変えられると思って、音楽という武器を手にこれからも戦い続けたいです。これからも同士として、よろしくお願いします」

 貴重だった本日のMCはこのように完結かつ、力強い宣言で締められた。

ALI対バンライブ評(エクスクルーシブ)

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