日向坂46「月と星が踊るMidnight」の“勝ちに行く”フォーメーション 人生讃歌であり新時代への架け橋に

 日向坂46の8thシングル曲「月と星が踊るMidnight」(10月26日発売)のMVが9月18日に公開され、9月19日放送の『日向坂で会いましょう』(テレビ東京系/以下、『ひなあい』)ではフォーメーションが発表された。そこで今回は、MVの見どころとフォーメーションについて分析してみたい。

 今回のシングルでは齊藤京子が、けやき坂46時代の「それでも歩いてる」以来であり、日向坂としては初となるセンターを務める。齊藤が楽曲について「日向坂46にとって初めての恋愛系ではない表題曲。メッセージ性が強くて、思い悩んで思い悩んでも諦めずに強く生きよう、過ちを恐れず頑張ろうと思える、そんな応援してくれる曲です」(※1)と綴るように、迷っている自分を後押しする「青春の馬」や「抱きしめてやる」に近い日向坂らしい応援ソングと言える。一方、高瀬愛奈がブログで「ひらがなけやき時代の曲の主人公が成長して、今またこのタイミングで過去を振り返りながら、時代が変わっても前を向いていろんなものに立ち向かいながら頑張ろうとしているような、そんな歌詞だなと個人的には感じとれました」(※2)と解釈しているように、秋元康がけやき坂時代を経た今の彼女たちに宛てた歌詞でもあるのだろう。「それでも歩いてる」や、齊藤のソロ曲「居心地悪く、大人になった」も齊藤自身の境遇と重なるような歌だったが、かつての自分を振り返りながらも、前へ向かっていく人生讃歌のような趣きを感じさせる曲だ。

 「世界にはThank you!が溢れている」も監督した大喜多正毅によるMVは、上村ひなの曰く「まるで夜に浮かぶ月と星みたいな色合い」の衣装で(※3)、メンバーが舞い踊る姿をドローンによる空撮や疾走感溢れるカメラワークを駆使し、壮大なスケールの映像で見せる美しい作品。序盤、群馬県立ぐんま天文台でストーンサークルに囲まれるメンバーの姿は、まだ現状を打破できず、もがいていることを表現しているようだが、そんな閉じこもった世界から飛び出し、八ッ場ダムや河川敷に舞台を移して開放されていくと、〈僕たちは何だってできるんだ〉と力強く歌い踊る。そしてスタジオセットでは、まるで映画『未知との遭遇』に出てくるUFOのような、巨大な照明の下で圧巻のダンスを披露するが、その姿は歌詞のメッセージにもピッタリとハマっている。前作シングル曲「僕なんか」が最新技術を駆使した映像だったのとは対照的に、CGに頼らないところもエモーショナルな要因かもしれない。

日向坂46『月と星が踊るMidnight』

 フォーメーション全体を見ると、まずセンターの齊藤が抜群の存在感を発揮している。ソロダンスをはじめ1人だけ振り付けが異なる演出もあるが、メッセージ性が強い楽曲の中で、ゾーンに入ったような感傷的な表情、仕草、流し目を見せるなど、多彩で力強い表現力が光っている。その両隣を二期生の小坂菜緒と金村美玖、さらにその両隣を一期生の加藤史帆と佐々木美玲が担い、センター経験者が1列目に集結。まさに“勝ちを取りにいく”最強のフロント陣と言えるだろう。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる