“踊るアーティスト”が急増中? SEKAI NO OWARI、藤井 風ら……自らで表現することが新たな飛躍の鍵に

 現在TikTokを中心に大きなバズを起こしているのが、SEKAI NO OWARI「Habit」のMV内で披露されているダンスだ。Fukaseをはじめ、SEKAI NO OWARIメンバーが高難易度のダンスパフォーマンスを見せるMVは、7月1日時点で4600万回以上再生されている。ダンスの一部を切り取ったり、同曲を元にした替え歌がTikTokなどで無数に投稿されている現状を見ると、「Habit」は令和にSEKAI NO OWARIの名を改めて広めた、新たな起爆剤になったと言えるだろう。

 そんな「Habit」では、ダンサーと共にSEKAI NO OWARIのメンバー自らが踊っている点が大きなポイントになっているように思う。どのアーティストの曲であるかの視認性、親近感、映像を見たときのインパクト、総じてそれらをキャッチーな形で視聴者やリスナーへ届けるためには、本人たちが踊ることが一番有効ではないだろうか。それを裏付けるかのように、SEKAI NO OWARI以外にも“踊るアーティスト”たちが近年急増している。

SEKAI NO OWARI「Habit」

 米津玄師や藤井 風のような、いわゆるシンガーソングライターたちもダンスを表現の一つとして取り入れている。米津は、「LOSER」「春雷」「Flamingo」といった曲のMVでコンテンポラリーダンスを披露。米津本人は「LOSER」MVで踊った理由について、「『LOSER』の映像を作るときに、まず『カッコいい映像を作りたい』って言ったんです。で、『カッコいい映像って、例えば何?』みたいな話を監督としていく中で『踊ってる人が曲を作ってる本人だったらカッコいいですよね』ということになって。そこからもう、なし崩し的に俺が踊るということになったんです」と語る(※1)。辻本知彦、菅原小春といった世界的なダンサーらと交流がある米津だが、彼の踊る姿やその動きからは、テクニック云々よりも衝動的な勢いを感じることができる。踊りを取り入れた理由はどうあれ、踊ることで彼が手にした新たな表現は、今に続く米津玄師の飛躍に少なからず影響を与えているに違いない。

米津玄師 - LOSER , Kenshi Yonezu

 藤井 風も、2021年にスマッシュヒットした「きらり」のMVにてダンスを披露している。基礎的な動きを取り入れつつも、軽快なステップやダンサーたちとのユニゾンなど、生まれ持ったリズム感を惜しみなく解放しているように見える。 マイケル・ジャクソンらを影響源に持つことなどを考えれば、ダンスにアプローチすることにそこまで驚きはしない。だが、「きらり」という楽曲がCMソングとして、さらにそれまでの藤井 風のディスコグラフィにおいても新鮮な風を吹かせるナンバーであったことを踏まえると、米津同様、彼もまた踊ることで大きく前進したのではないだろうか。

藤井 風 - "きらり" Official Video

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