清竜人の楽曲に漂う“どうにもならなさ” キャラクターミュージックプロジェクト UniteUp! はる賀の歌声との相性を紐解く

はる賀、清竜人提供曲で発揮される表現力

 昨年12月より様々な展開をしているキャラクターミュージックプロジェクト「UniteUp!」。各種サービスで続々と楽曲が配信されており、5月27日にははる賀の新曲「好きだから、好きにならないようにするね」が公開された。

はる賀 - 好きだから、好きにならないようにするね

 今回、楽曲提供をおこなったのはシンガーソングライターの清竜人。多彩な音楽性と幅広い活動内容からもわかる通り、マルチな才能を持ったアーティストである。2014年から2017年にかけて活動した異色のアイドルユニット・清竜人25や、舞台やミュージカルへの参加、YouTubeドラマの監督・出演など、その活動は多岐にわたる。なかでも堀江由衣やももいろクローバーZなど、多くの女性アーティストに楽曲提供をしてきたことは広く知られており、自身の声も含めボーカリストの声を最高に輝かせる力を持った音楽家と言えるだろう。

 彼を語るにあたって外せないのが、2010年にリリースされたバラード「痛いよ」だ。彼の名を広く知らしめ、今も多方面から愛される名曲である。

清 竜人 - 痛いよ

 エンタメ性の強い音楽やエッジの効いたサウンドも魅力的だが、彼の作るバラードには多くの人を惹きつける普遍性がある。今年2月にリリースされた「離れられない」や、初の男性への提供曲として話題になった山下大輝「誰かを」などを聴いてみても、その魅力は理解できるだろう。

 彼の紡ぐ詩の中に漂う“どうにもならなさ”のようなものは、誰しも覚えのある感情だ。使われている言葉そのものに難解さはなくシンプル。だからこそ聴き手の想像力を掻き立て、様々な物語を想起させる。美しいメロディと音色、曲の空気感を彩るボーカルによって歌詞のディープさ・激しさが段階的に刺さるような構造になっており、聴けば聴くほど引き込まれるのだ。

 今回の「好きだから、好きにならないようにするね」も、清竜人ならではの切ないバラードだ。美しい鍵盤の響きと、トリッキーでありながらキャッチーなメロディライン、そしてストレートな歌詞と歌声が緻密に合わさり、そのすべてが胸に響く。

 同曲は、学生らしき主人公が切なく募る片想いをなんとか自分の中だけで終わらせようとする、という内容の歌詞だ。気持ちを抑え込もうとすればするほど、その心はコントロールできなくなっていく様がリアルに描かれている。現在進行形で同じような思いを抱えている若者にはもちろんのこと、似た状況を経験したことがある・もしくは経験したことはなくても共感できる大人にも、生々しい傷をつける力を持った楽曲なのだ。

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