SiM、Aimer、YOASOBI……可視化される日本アニメソングの海外人気 グローバルチャートの動向から考察

 近年海外で最も聴かれたJ-POPはアニメソングである……これは意外でもなんでもありません。昨年上陸5周年を迎えたSpotifyが発表したランキングによると、昨秋までの5年間に海外で最も再生された日本のアーティストによる楽曲がTK from 凛として時雨「unravel」。テレビアニメ『東京喰種トーキョーグール』オープニングテーマとして、Spotify上陸前の2014年にリリースした作品でした。日本のSpotifyデイリーチャートでは最高152位だった「unravel」は、今年に入り世界中のSpotifyで2億回再生を突破しています。その他同ランキング上位10位以内にランクインしたLiSA「紅蓮華」、KANA-BOON「シルエット」、いきものがかり「ブルーバード」、Eve「廻廻奇譚」、米津玄師「ピースサイン」、THE ORAL CIGARETTES「狂乱 Hey Kids!!」、LiSA「crossing field」を含む8曲が主題歌やテーマソングなどでアニメ作品と関連のある楽曲でした。(※1)(※2)(※当コラムでは日本の音楽作品を“J-POP”として表記します)

 この結果から見ても海外での日本アニメやアニメソングの人気ぶりが分かります。そして今年、この流れに新たに加わった曲のひとつがSiM「The Rumbling」です。

 テレビアニメ『「進撃の巨人」The Final Season Part 2』オープニングテーマとして1月10日にTVサイズ音源が、2月7日にフルサイズ音源がリリースされたSiM「The Rumbling」。ストリーミング再生回数はTVサイズ版が配信開始から7日間で1000万回を、フルサイズと合わせると3月に1億回を突破しています。Spotifyに限ってみると、TVサイズ版がグローバルチャートで最高108位を記録(フルバージョンは200位未達)。ヨーロッパや中東で高い人気を誇り、アメリカでも両バージョン共にデイリー200位以内に登場しました。他方、日本ではフルサイズがデイリー最高162位ながらTVサイズは200位以内に入っていません。

SiM – The Rumbling (OFFICIAL VIDEO)

 このSiM「The Rumbling」は、世界での人気曲を可視化した新たなグローバルチャートでも存在感を示しています。米ビルボードは世界200を超える地域での主要デジタルプラットフォームにおけるストリーミング(先述したSpotifyをはじめ、動画再生も含む)およびダウンロードに基づく、2つのグローバルチャートを一昨年秋に新設。“Global 200”およびGlobal 200から米の分を除いた“Global Excl. U.S.”は、日本時間の毎週火曜夜に200位までが発表されます。Global Excl. U.S.は米ビルボード有料会員の公開にとどまる一方、Global 200は200位までが無料で公開。このGlobal 200で、SiM「The Rumbling」は2月19日付で92位に初登場しました。J-POPはGlobal Excl. U.S.よりもGlobal 200のほうが順位が低く、ランクイン自体しづらい傾向がある中、「The Rumbling」は3月5日付まで3週連続で200位以内にランクインを果たし、この3週すべてにおいてAimer「残響散歌」(テレビアニメ『「鬼滅の刃」遊郭編』オープニングテーマ)に次ぐJ-POP2番目の成績を収めたのです。(※グローバルチャートでは米ビルボードソングスチャート同様、異なるバージョンは合算されます。一方でSpotifyでは合算されません)(※3)

 ちなみにAimer「残響散歌」はGlobal 200において、昨年12月18日付以降18週連続で200位以内にランクイン。最高位は2月26日付における37位で、登場11週目でのピーク到達はこの曲の人気が徐々に広がっていったことを物語るかのようです。なお「残響散歌」は、6月10日発表予定のビルボードジャパンによる2022年度上半期ソングスチャートでも首位が確実視されています。

Aimer「残響散歌」MUSIC VIDEO(テレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編オープニングテーマ)

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