木村拓哉×B'z、強力タッグはどう生まれた? 『Beautiful Life』から『未来への10カウント』まで続く信頼関係

 木村拓哉キャプテンと、彼の盟友で「Brotherhood」の稲葉浩志が同じ船に乗り、3度目の航海に出港する。これまで2度にわたって木村が主演するドラマ主題歌を担当してきたB’z。4月14日からスタートしたドラマ『未来への10カウント』(テレビ朝日系)で、久しぶりに木村とB’zの強力なタッグが復活した。本作は、生きる希望を完全喪失した男とボクシング部の熱き高校生たちが繰り広げる学園スポーツドラマ。木村にとって2年ぶりの連ドラ主演で、学園スポーツドラマ初挑戦となる本作の主題歌は、作品の世界観を目一杯反映させたB’z書き下ろしの楽曲「COMEBACK -愛しき破片-」だ。

 B’zが木村の主演ドラマに楽曲提供するのは『Beautiful Life ~ふたりでいた日々~』の「今夜月の見える丘に」、『A LIFE~愛しき人~』(共にTBS系)の「Still Alive」に続いて3度目。最初のコラボとなった『Beautiful Life』の放送は2000年。2000年といえばSMAPの『らいおんハート』がリリースされた年だ。すでに国民的スターになっていた木村と、ミリオンセラーを連発し、日本を代表するアーティストとして不動の人気を誇っていたB’zとのコラボは、そのネームバリューの強さから話題性は抜群。実際、同ドラマの最高視聴率は41.3%を記録、さらに主題歌の「今夜月の見える丘に」も約112万枚を売上げるなど、まさに両者が生み出す相乗効果を証明する結果となった。

B'z / 今夜月の見える丘に

 木村主演ドラマとB’zが提供する主題歌の関係性で特筆したいのは、単なるタイアップを超え、ドラマと楽曲が深く共鳴しあっていることだ。この共鳴が生まれるうえで大きな役割を果たしているのは、木村とB’zのボーカリストで作詞を担当する稲葉の親密な友好関係。『未来への10カウント』と「COMEBACK -愛しき破片-」のタッグが実現したのも、この強固な友好関係が重要な基礎地盤になっているように思う。もともと『Beautiful Life』の時点では、音楽番組で挨拶を交わす程度にしか面識がなかったそうだが、出会いのターニングポイントとなったのは、お互いの趣味であるサーフィン。人の少ないサーフポイントで、偶然顔をあわせたことをきっかけに、すぐに意気投合したという。サーフィン以外にも木村、稲葉ともに大型バイクを趣味としていることでも知られており、木村のソロアルバムから垣間見えるハードロックを好む音楽の嗜好も含め、共通点の多いふたりは以降、より一層関係を深めていくことになる。そして、この関係の強さが最初に作品として昇華されたのが、2017年に放送された『A LIFE~愛しき人~』の主題歌「Still Alive」。すでに友人としてお互いの理解が深まっているタイミングでの制作となった「Still Alive」の作詞について、稲葉は普段の“木村拓哉”という一個人のイメージと役柄のイメージとを重ねあわせながら、試行錯誤して制作にあたったと振り返っている。木村自身も、ドラマの内容がすべて曲の中に存在すると評するほど、ドラマと主題歌のリンクがとても強固なものとして仕上がっており、『A LIFE~愛しき人~』の主題歌は「Still Alive」以外ありえないと思えるほどドラマを最大限に盛り上げた。

B'z / Still Alive

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