majiko、コロナ禍で支えとなった音楽制作への没頭 「気持ちが壊れないように作っていた」

majiko、コロナ禍支えた音楽制作

 majikoが、2022年の第一弾シングルとして「劫火のエトワール」をリリースした。トレーディングカードゲーム『バトルスピリッツ コネクテッドバトラーズ』の主題歌に起用された同曲は、美しさと不穏さが共存するアッパーチューン。アグレッシブなボーカル、〈どこまでも行ってみよう/一緒なら 怖いものはもう何もない〉という前のめりなフレーズを含め、彼女の新機軸と呼ぶべき楽曲に仕上がっている。

 アジアでのストリーミング再生数2億回を超えるなど、海外でも高い評価を得ているmajiko。コロナ禍以降の活動スタンス、「劫火のエトワール」の制作、そして7月2日に東京・恵比寿ガーデンホールで行われる約1年半ぶりの有観客ライブ『愛わかる-medewakaru-』などについて語ってもらった。(森朋之)【インタビュー最後にプレゼント情報あり】

コロナになって、虚無というか凪みたいな状態

majiko
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ーーまずは2020年12月のアルバム『世界一幸せなひとりぼっち』以降の活動について聞かせてください。アルバムリリース後は、どんな活動を思い描いていましたか?

majiko:アジアでツアーをやりたいと思ってたんですよ。2019年10月に中国(上海、北京、広州)、12月に台北でワンマンライブをやらせてもらったんですけど、すごく受け入れてもらえて。

ーーmajikoさんのアジアでのストリーミング再生数は2億回を突破。日本と海外の比率もほぼ半々です。

majiko:「なんでだろう?」って思ってますね(笑)。2019年のライブのときは、どんな曲が人気なのかよくわかっていなくて、“歌ってみた”の頃の曲をセットリストに入れてたんです。最初は思ったほど盛り上がらなかったんだけど、オリジナル曲を歌うと「うおー!」みたいな反応があって。「心做し」が人気だったんですが、〈独りにしないで〉というフレーズを歌うと、それに対して〈独りにしないよ〉って、アンサーみたいにお客さんが返してくれたんです。それはすごく自信になったし、「次はツアーだ!」って意気込んでいたんですけど、コロナになって、計画が実現できなくなって。しばらくテンションが下がってしまって、虚無というか凪みたいな状態になってました。

ーーそうですよね……。

majiko:でも、新しいスタッフが加わってくれたり、「次はどうしようか?」と話し合うなかで、少しずつ気持ちが上がってきて。モチベーションは上がったり下がったりしながら(笑)やってますね。

ーー昨年の8月に「白い蝉」、12月に「FANTASY」とリリースも続いていて。曲はずっと作ってたんですか?

majiko:めちゃくちゃ作ってました。曲を作ったり、歌っているときはいろんなことから解放されることに改めて気づいて。「こうやってみよう」と歌詞やメロディ、アレンジに頭が占領されると、余計な心配や不安も感じないし、夢中になれることがあるのは素晴らしいなって。生きるためというか、気持ちが壊れないように作っていたところもありますね。

ーーオードリーの若林正恭さんが著書(『社会人大学人見知り学部 卒業見込』)で記した、「ネガティブを潰すのはポジティブではない。没頭だ」を実践してるというか。

majiko:まさしく。私もその言葉はすごくいいなと思っています。

ーー楽曲制作の機材も充実させてました?

majiko:プラグインはけっこう買いましたね。エフェクトのスキルも上がってきたり、「こんなことできちゃった、私!」って自画自賛しながら作ってます(笑)。意図してやれることも増えてきたし、たまたまできちゃう音もあって、それも楽しいんですよ。

ーーDAWの技術が上がることで、イメージ通りの楽曲を生み出せる確率も上がっているのでは?

majiko:そうですね、少しずつですけど。初期の“歌ってみた”の頃の楽曲は、今思うと人に聴かせちゃいけないレベルだったんで(笑)。オーディオインターフェイスも持っていなくて、手持ちのマイクをパソコンに直でつなげて、ポップガードの代わりにタイツを巻いて歌って。音が割れまくってたんですけど、「いい感じじゃん」ってアップしてました(笑)。

ーーエンジニアリング的にはNGでも、聴感上、「かっこいい」ってことはありますからね。

majiko:そうなんですよ。きれいな音だけが正解ではないし、割れていたり、音がぶつかっていたりしても、カッコよければいいんじゃないかなって。ある程度のルールはあるけど、自由でいいと思ってます。

ーー一方で、戌亥とこ「地獄屋八丁荒らし」(2020年)、EXiNA「ERiCA」(2021年)などの楽曲提供も。他のアーティストに提供する際に大事にしていることは?

majiko:歌ってくれる方のキャラクターですね。どんなマインドを持って、どんなふうにアーティストとして歩んでいるのかを知ることが重要だし、それを歌詞にも反映させたいので。プロフィールなどもめっちゃ調べますね、当たり前ですけど。人に曲を書くのはすごく楽しいですよ。

ーー作風の幅も広がりそうですよね。

majiko:そうですね。私が普段作らないジャンルを求められたときは、自分の記憶のなかで「あんな感じかな?」という曲をリファレンスにしたり。まあ、普段からいろんな曲を聴いてるんですけどね。“今年はエレクトロニカの気分”“今はバンドの音楽を聴きたい”みたいなモードはあるけど、いろんなジャンルが好きなので。ずっと好きなのはSystem of a Down、レニー・クラヴィッツ、Kula Shaker、レッチリ(Red Hot Chili Peppers)とか。もはや教科書みたいなものですね。

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