ROTH BART BARON、AAAMYYY、DYGLらがSTUDIO COASTに集結 『SWEET LOVE SHOWER』スピンオフイベント

『SWEET LOVE SHOWER』スピンオフイベントレポ

 12月4日、毎年夏に行われる音楽フェス『SWEET LOVE SHOWER』のスピンオフイベント、『SWEET LOVE SHOWER 2021 〜Bay Area〜』が開催された。舞台は来年1月をもって閉館が決まっているUSEN STUDIO COAST。「今日で最後のコーストでのライブ」と語った演者も多く、各アーティストにとって思い出深い場所でのメモリアルな一日となった。

 開場とともにDJやけのはらがステージ向かって左側のDJブースより会場を温めはじめる。HALFBY「Calm as Day feat. Ruru」やThe High Llamas「Sparkle Up」などゆったりと海辺に似合うナンバーをプレイ。続々と増えるオーディエンスを迎え入れる。

 トップバッターとして登場したのはROTH BART BARON。「000Big Bird000」から始まると、穏やかさの中に棘が潜む歌詞を乗せ、広々とした空間を思わせるサウンドを鳴らしていく。中域がふくよかなギターが存在感を醸した「dying for」では〈夢の中へあの夢の中へ〉と誘いこみ「春の嵐」では〈必死こいてのたうち回るのを 冷めた顔で面白がってんだろ?〉と歌いつつ〈いくつもドアをあけて僕らまた出会おう〉とリズミカルなバッキングの上で歌う。

 ニューアルバムから披露された「Ubugoe」では比較的多い人数のバンド編成ゆえのグルーヴを構築した。ビビッドな照明で彩られた「極彩|I G L (S)」は歌詞の通りまさに祝祭で、祈りのようにも聴こえる〈君の物語を絶やすな〉という詞が会場に届けられる。「今日でコーストは最後なんです。本当にありがとう」と別れを告げると「また会えることを楽しみにしています。死ぬなよ」と笑い混じりに言う。力強いタムが響く「鳳と凰」で三船雅也がオーディエンスに向かって手を挙げ、祈りのような旅のようなステージが終結した。

 ライブが終わるとすぐさまDJが会場をダンスフロアに変えたこの日。Seihoは自身の楽曲「Wareru feat. 5lack」や「IF YOU feat. KID FRESINO」などを流しながら飛び跳ね会場を熱気に包んだ。

 ほどなくして登場したのはAAAMYYY。「Leeloo」できらびやかな声と控え目なドラムとキーボードがゆったりとしたノリを作り上げていく。カウントから続く「PARADOX」はスモーキーな歌声で、〈バカにされても気にしない 知ったフリならお好きにどうぞ〉と歌う「ポリシー」に繋げる。AAAMYYYはステージを歩き回りながら伸び伸びとリラックスした様子でステージを進めていく。

 「師走ですねえ。今日は忘年会みたい。ゆるく行きたいと思います」と気さくなMCで場を和ませたかと思えば、一変してクールに「踊る準備はできてますか?」とシンセサウンドから「TAKES TIME」へ。ハイハットの上で鳴らされるギター2本とベースの絡みが心地いい。自身も身体を揺らしながら漂うように歌うと、重低音が身体に響くラップパートへ大きく展開。「無理はしないで楽しんでいってください」と言葉を残し、最後に披露されたのは「AFTER LIFE」。つややかな声による珠玉のバラードをふくよかなギターとドラマチックなドラム、キーボードが演出する。転調するとさらに感情がこもり、エモーショナルなギターソロへ。畳みかけるように手数を増やし勢いづくドラムがクライマックスを演出した。

 続いて登場したのはDYGL。太いドラムの音でパワフルに開幕すると、「Come Together」でバンドサウンドを鳴らしていく。力強いボーカルの「Half of Me」ではクラップでオーディエンスを巻き込んでいく。曲の間も音で埋められているのが没入を途絶えさせない。「部屋に一人でいて答えが見つからなくて沈んでいる、そんな気持ちを知っている人がいたら、その人に捧げます」と演奏したのは「Sink」。ボーカルのバッキングを中心に構築される音。ギターの本数が多いとアッパーな曲でなくとも推進力を感じさせる。

 今年3回目のコーストであり、これが最後だというDYGL。「楽しんでいきましょう」と呼びかけると、「Let It Out」からアップテンポの「A Paper Dream」へと続く。バチっと合ったキメがオーディエンスの興奮をさらに加速させる。下中洋介(Gt)がTシャツを脱ぎ捨て、最後のナンバー「Bad Kicks」へ。最後の1音を鳴らし切ると会場からは大きな拍手が巻き起こった。

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