超特急、10周年記念ワンマンで8号車と噛みしめた軌跡 未来を感じさせる熱狂のステージに

超特急、10周年記念ワンマンレポ

 11月23日にさいたまスーパーアリーナで超特急の10周年記念ワンマンライブ『BULLET TRAIN 10th Anniversary Super Special Live 「DANCE DANCE DANCE」』が行われた。12月25日に結成10年を迎える超特急。この日集まった8号車(ファンの呼称)と、10年の軌跡を噛みしめ、そして世界を見据えた3年ぶりの新作アルバム『Dance Dance Dance』と共に、超特急が創り出す“踊る”未来を想像させる熱狂のステージをみせてくれた。

 開演前にメンバーの声によるアナウンスで、気持ちが高まる会場。暗転すると、8号車は声には出せないが彼らに会いたかった気持ちを両手のペンライトで伝えた。

 メンバーの歴代の写真を映したOvertureを経て、ステージ中央に設置されたミラーボール型の巨大セットの扉から超特急の姿が。黒をベースにした煌びやかなスーツに身を包み、右手を上げ、斜め上を指さした5人。スタートを飾ったのは『Dance Dance Dance』に収録の「Dance Dance Dancing!」。

 3年ぶりのアルバムのテーマは、「世界各国に超特急の名前と音楽を広げ、世代を超えて踊れる作品」。そのコンセプト通り、自然と体が動くダンサブルな音で会場を包み込んだ。ステージではメンバーが滑らかな体の動きと軽快なステップをみせれば、それに呼応するように8号車のペンライトも一層激しさを増す。続いて「Magnifique」へ。タカシの伸びやかなボーカルが、歌詞にも登場する〈青い海〉を彷彿とさせ、早くも超特急ワールドへと引き込んでいく。

 メインステージの上手・下手と二手に分かれて動き回るメンバー。そしてカイを先頭に、センターステージに通じる花道へと繰り出す。続く「超えてアバンチュール」では、開始早々の特効で刺激的なステージに。リョウガが変顔をみせたり、サビ前にはカイが「いくよー! せーの」と煽ったり、サビからの盛り上がりをさらに加速させた。アップビートではあるがストレートな思いを歌ったラブソングだ。

 「今日は嫌なこと全て忘れて、俺たちと魂と体を一つにして最高に楽しもうぜ!」

 「OVER DRIVE」のイントロで声高らかに叫ぶカイ。タカシを先頭に、一列に並ぶメンバー。下手に上手にと、しっかりと表情を見せてのパフォーマンス。くるくると回りながら彼らを照らすは無数の白い光。その眩しいほどの光に包まれる彼らの姿はたくましく、〈永遠に消えない愛を 光を両手に〉という歌詞の一節と重なる。大きな目標を掲げ、輝かしい未来へ走り続ける彼らを照らしていた。

 リョウガが「始まりました!」と叫んでMCタイムへ。一人ひとり自己紹介をすると、久しぶりの口上だったというメンバー。改めて「ようこそおいでなすった!」とリョウガが呼びかけると、8号車が大きな拍手を返す。そして、これまでのライブのように歓声をあげられないファンの気持ちを汲んだ言葉を投げかける。思いをペンライトの振りにぶつけるようにと前向きにナビゲートするなど、さりげない心遣いも10周年という年月に繋がっているのだろう。

 ステージ前半だけでもアップテンポの楽曲が続いたが、どんな楽曲でも熱量を落とさない彼ら。さらに深く超特急の世界へと誘う。ジャケットを脱ぎ、シャツの裾を揺らしながらのダンスが叙情的に映った「霖雨」。カイ、タクヤ、リョウガ、ユーキ、それぞれが表現力豊かに踊る情熱的なダンスに、切なく響くボーカルを重ねたタカシ。このパートは劇場かと思うほどのノンバーバルパフォーマンスとも呼ぶべき時間だった。曲終わり、一瞬の静寂を経て大きな拍手が寄せられた。

 それも束の間、今度はロシア発祥のハードベースミュージックをベースにした「Добрый день」(読み:ドーブリジェン)で空気を一変させ、異国情緒漂う不思議な世界へ。「Time Wave」からはさらに刺激的な空間に。イエローやゴールドの照明、EDMにサウンドにレーザー、スモークが入り乱れる、まさに〈底なし沼〉。オーディエンスの気持ちを激しく揺さぶりながら走り続ける。

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