カメレオン・ライム・ウーピーパイ、Mega Shinnosuke……セルフプロデュースに長けたZ世代アーティスト

 最近よく聞くようになった「Z世代」という言葉。主に1990年代中盤から2000年代に生まれた世代を指す用語で、その新しい価値観やセンスが社会からも注目されている。彼らは生まれた時からインターネットが普及していた最初の世代。スマートフォンを使いこなし、SNSでの発信を日常的におこなう。そんな新世代の波は音楽の世界にも訪れている。

 昨今の音楽シーンで目立つのが、楽曲から映像、アートワークまで、すべての制作を自分でこなしてしまうセルフプロデュース型のアーティストたちだ。例えば2000年生まれの現役大学生アーティストとして注目を浴びるVaundyがその筆頭だろう。2019年に発表した「東京フラッシュ」を皮切りに、リリースする作品が軒並みチャート上位にランクイン。11月17日には新曲「踊り子」をリリースした。ジャンルの垣根なく様々な楽曲を作り出すその手腕は、まさにZ世代を象徴するものだろうVaundyのように新しい感覚を持ったZ世代アーティストたちが今続々と現れている。そこで本稿では、今後の音楽シーンを担うであろう彼らのそのセンスとスキルに注目してみたい。

洗練された中にもどこかいなたさの残るポップセンス

 2000年生まれのマルチクリエイター Mega Shinnosuke。作詞作曲をはじめ、アートワークや映像制作までセルフプロデュースで行う。ジャンルの壁を自在に超えていく変幻自在な音楽性に、等身大かつユニークな歌詞で注目を集める。今年リリースした初フルアルバム『CULTURE DOG』は、洗練された中にもどこかいなたさの残る特有のポップセンスが光る作品が並び、おしゃれでグルーヴィ、かつ絶妙な緩さがブレンドされた中毒性が心地良い。新しいものへのアンテナも敏感で、懐かしいものへのリバイバル感覚も併せ持つ。

Mega Shinnosuke - お洒落すぎてどうしよう (Official Music Video)

 カメレオン・ライム・ウーピーパイは、ボーカルのChi-によるソロプロジェクト。仲間であるWhoopies1号とWhoopies2号と共に楽曲制作からMVの撮影、編集、アートワークまですべてをセルフプロデュースで行っている。語感の良い言葉選びのリリックやグルーヴ感抜群のサウンドを下地に、カラフルだが綺麗すぎない、どこか違和感のある独特の世界観を描き出すMVが特徴。3人にはBeastie Boysが好きという共通点があるという。その点からも分かるように、海外カルチャーからの影響を多分に感じる音楽性に、現代的なミクスチャー感覚が融合。クール過ぎず、いなた過ぎない、絶妙なバランスのセンスが魅力だ。

カメレオン・ライム・ウーピーパイ - scrap (Visualiser)

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