アミューズによる新人開発・育成の新たな企画「DIプロジェクト」 担当者が語るアーティストの魅力を最大化する向き合い方

DIプロジェクト、アーティストとの向き合い方

 アミューズが新たにスタートした新人開発・育成の新たな企画「DIプロジェクト」。「DI」とは「Development and Improvement」の略で、専属契約を結んでいない新人アーティストとアミューズの開発・育成チームがタッグを組んで、その才能を伸ばし、成長させていくためのプロジェクトだ。

 アーティスト自身のビジョンや目指す方向を尊重しつつ、デジタル配信や活動のプランニング、プロモーションなど、アーティストだけではできない部分をアミューズのプロフェッショナルがサポートするという形は、これまでのいわゆる「新人育成」とは異なるもの。環境面でも技術面でも制作から発信までを自力でできるアーティストが増えた今だからこそ、こうした新たな取り組みにはおもしろい可能性が眠っている。両者の強みを生かすことで、より活発で自由なクリエイティブ活動を育んでいけるのかもしれない。

 今回リアルサウンドでは「DIプロジェクト」の中心でアーティストと向き合う杉浦秀和氏、守隨憲信氏に話を聞き、このプロジェクトが生まれた背景、そして現在プロジェクトに参加しているカメレオン・ライム・ウーピーパイとLymという2組のアーティストとの向き合い方、そしてプロジェクトの未来への思いまでを語ってもらった。(小川智宏)

「DIプロジェクト」はデジタル配信サービスを軸にした発掘育成プロジェクト

――現在、「DIプロジェクト」を担当されているおふたりですが、これまでの経歴は結構違うんですよね。

杉浦秀和(以下、杉浦):僕は2003年に新卒でアミューズに入りまして、15年、マネジメントの仕事をやってきました。その後2018年の春から、新人開発と育成の仕事をやり始めて、今に至るという感じです。

守隨憲信(以下、守隨):僕は前の会社では音楽番組制作とか映像制作、イベント企画などの仕事をやっていたんですが、昨年の4月にアミューズに移ってきました。でも、入っていきなり緊急事態宣言になってしまって――。

杉浦:4月に入社されたときは緊急事態宣言中で僕も守随さんの存在を知らなかったんです(笑)。7月に同じチームになったんですけど、それでもリモート中心みたいなところから始まっていきましたね。

――ちょうどその頃にこの「DIプロジェクト」が立ち上がっていったわけですよね。

杉浦:そうです。そもそもは、僕が新人開発育成の部署に来たときから、今後どうしていこうかみたいなことをいろいろ考えていたんです。アミューズの新人発掘や育成にはいくつか課題があったんですけれど、その中のひとつとして、音楽アーティストの発掘があったんですね。継続的な新人発掘と育成をしていくシステムや、社内での情報の共有や蓄積がされていなかったから、それをもう1回ちゃんとやろうと。そんな中、コロナの影響でそれまでのように動きにくくなってしまったのもあって、アイデアとしてできたのが、今の時世に合うよう、デジタル配信のサービスを軸にした発掘育成のプロジェクトという、「DIプロジェクト」の元になるものでした。

――なるほど。よく新人との出会いは「交通事故のようなもの」という表現をされる方もいらっしゃいますけど、そうではなく、より組織的に、継続的にやっていこうと。

杉浦秀和氏

杉浦:そうですね。今は作品を自分自身の力だけでも届けられる環境があるし、だからこそマネジメントやプロダクション、レコード会社の存在意義が問われている時代だと思うんです。そういう、制作から発信までできる人たちと出会って一緒に仕事をする最初のとっかかり、ミニマムな接点となるのがデジタル配信の部分だろうなと。それでいろいろ調べていくと、配信のためにかかる手数料とか、サブスクに月額料金を払わなきゃいけないとか、発信するために金銭的なリスクを背負わなければいけないところがネックになっているということが見えてきたんです。だとしたら、僕らがサポートすることでそのリスクをゼロにすることができれば、とにかく自分の作品を届けたい、そのためにちょっと助けてほしいという人たちが集まってくれるんじゃないかと思ったんです。

守隨憲信氏

守随:とはいえ正直、今杉浦が言ったようなサービスをやってるだけじゃ集まってこないというところもあって。最初はやっぱりこちらからガンガン探さないといけない部分もありました。緊急事態宣言中だったので実際に外に探しに出るというのは難しかったんですけど、とにかく紹介や、YouTube、ネットで探して、ライブを見にいく。そうしているうちに、何組かいいなと思う人たちと出会えました。

杉浦:最初は外向きに「こういうプロジェクトを始めました」と言っていたわけでもないので、基本的にはこちらからスカウトしに行くっていう発想だったんですね。僕らが向き合いたい人たちをまず探していこうというところから始まっていって。その中で最初に取り組みに参加してもらうことになったのがカメレオン・ライム・ウーピーパイ。2021年の1月から契約を結んでプロジェクトに参加してもらっています。クリエイティブを見てもらったらわかると思うんですけども、楽曲制作だけじゃなくて、映像も、それにまつわる小道具なんかも、全部セルフプロデュースができるアーティストです。僕らのプロジェクトに一番合うアーティストなんじゃないかと思っています。

守随:一方、YouTubeで見つけた何組かの中の1組だったんですけど、一番気になるなと思っていたのがLym(リーム)。実際に何度かライブを観る中で直感的にこれは絶対すごいことになるバンドだと感じたので、今年の5月からプロジェクトに参加してもらいました。

杉浦:……という2組があって、並行して公募をスタートすることを決めて、4月末に「DIプロジェクト」の概要を発表、公募を開始しました(https://fc.dps.amuse.co.jp/di/f/1)。それなりに応募いただいているので、その人たちとも会ったりしながら、今はプロジェクトを進めているという感じですね。

――応募してくるアーティストのジャンルや世代の傾向はどうですか?

守随:比較的多いのはボカロ(ボーカロイド)系です。一方で圧倒的に少ないのがバンドです。「自分たちが応募する場所じゃない」って思われているのかもしれない(笑)。ボカロは今流行りではあるので、今から育成するのがスピード感として果たしていいのかっていうのも悩ましいんですけど、ただやっぱりいいものはたくさんあるんですよね。

杉浦:バンドでいうと、最近3組目の参加アーティストが決定しました。大阪のステエションズというバンドなんですが、代表曲がTikTokの投稿動画にかなりの数で使われていて、注目され始めています。これもまた先に出てきた2組とは毛色の違うアーティストなので、楽しみにしていただければ。

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