TikTokでも流行中 ENHYPEN「Hey Tayo」からK-POPシーン定番の“愛嬌“文化を解説

 TikTokでENHYPEN「Hey Tayo」が流行している。同楽曲は、韓国の人気アニメ『ちびっこバス・タヨ』テーマ曲のリメイク版として今年7月にリリースされたもの。MVでは、ENHYPENのメンバーが『ちびっこバス・タヨ』の世界観の中で、持ち味のキレのあるダンスや普段とは異なるキュートな一面を見せている。TikTokのソニーミュージック洋楽アカウントでも、10月2日に投稿された「Hey Tayo」の動画が130万回再生を記録しており、他の動画と比べても圧倒的な数字を誇っている。今回は、ENHYPENの知名度をさらに上げることとなった「Hey Tayo」の魅力とそれに通じる“愛嬌“文化について改めて考察していく。

@intersonymusicjp

ブンブンブン🚐💭##ENHYPEN ##HEYTAYO @enhypen

♬ Hey Tayo (Tayo Opening Theme Song) - ENHYPEN

 そもそも愛嬌とは、あえて幼い素振りや“ぶりっ子”をすることだ。「Hey Tayo」は、ENHYPENの楽曲の中でも断然に可愛らしい曲調で、メンバーのパフォーマンスはいわゆる愛嬌に近いものを感じさせる。耳馴染みの良いメロディで一度聴いたら忘れないキャッチーさが特徴であり、振り付けもバスの運転を彷彿とさせるもので真似しやすく、ダンス未経験者も簡単に踊れるものになっている。そのため、TikTokでは「Hey Tayo」の音源に合わせた“踊ってみた”動画が流行中であり、ENHYPENの楽曲の中でも「FEVER」に続いて2番目の人気を誇っている。また同楽曲は、日本人にとっては空耳しやすいことでも注目を集めているようである。以前から、K-POPの韓国語の歌詞の中で日本語に空耳できる部分が度々取り上げられ、SNSで広まることがあった。「Hey Tayo」もキャッチーなメロディラインの中で、何パターンもの空耳ができると動画のコメント欄を中心に盛り上がっており、K-POPファン以外の耳にも届いている。動画をきっかけに、新たな“推し”を見つけるTikTokユーザーも少なくなく、結果としてファン拡大に結びついているのだ。

 「Hey Tayo」の人気には様々な要因があったものの、K-POP文化には定番の“愛嬌”に通じる部分があったのはかなり大きかっただろう。過去には「キヨミ(=可愛い)ソング」と呼ばれる数え歌が、韓国のみならず日本でも流行した。現在ではそのほかにも、「オットケソング」や「オッパヤソング」など、愛嬌を披露する際の曲のレパートリーも増えている。単なる素振りにとどまらず、キャッチーな音源に合わせてアピールすることで、見ている側もノリやすく、音楽に合わせてキラーフレーズを届けられる点で、愛嬌文化には最早欠かせないものになっているだろう。愛嬌文化は今では多くのアイドルが通る道であり、各メンバーは時に躊躇しながらも最後までやり遂げるプロ意識が感じられる。ファンとしては、やりきる姿であっても恥ずかしがる姿であっても、愛嬌を見られること自体が嬉しいものである。また、愛嬌を披露する本人だけでなく、それを見守る周りのメンバーの様子がピックアップされることも多い。中には独特な愛嬌で笑いを誘うパターンもあり、メンバー自身のアドリブ力が問われていると言えるだろう。

X21 / キヨミ・ソング (gwiyomi song) フリビデオ

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