THE ORAL CIGARETTES、信頼できる仲間とクリエイトする喜び 「今まで以上にロックシーンを守っていく」

オーラル、仲間とクリエイトする喜び

 6月にリリースされた「Red Criminal」以来、4カ月ぶりにリリースされたTHE ORAL CIGARETTESの新曲「MACHINEGUN」。プロデューサーとして盟友であるHello Sleepwalkersのシュンタロウを迎え、これまでとは違う制作体制で生み出されたこの曲こそ、今のオーラルの自由で充実したモードを象徴するマスターピースだ。ストレートでエモーショナルなロックサウンドのなかに散りばめられた、斬新で刺激的なアイデアの数々。シュンタロウとのコラボレーションによって、4人のメカニズムに新鮮な風が吹き込まれている。なぜ今回彼らはコライトという手法を選んだのか。それ以前に、SKY-HIとのコラボレーションをはじめ、積極的にバンドの外で活動を展開する山中拓也(Vo/Gt)のマインドの変化はバンドにどんな影響を及ぼしたのか。THE ORAL CIGARETTESというバンドの現在地を今回のインタビューから感じ取ってほしい。自由だからこそ今まで以上に大きなものを背負って、オーラルは再びロックシーンに革命を起こそうとしている。(小川智宏)

THE ORAL CIGARETTES「MACHINEGUN」Music Video

「仲間と一緒にやっていくほうがオーラルっぽい」

ーー「MACHINEGUN」は、「Red Criminal」とはまた違う形でオーラルのストレートを食らわせてもらったなという感じがするんですが、手応えはどうですか?

山中拓也

山中拓也(以下、山中):最初からオーラルが求めてきたロックサウンドが、一回りも二回りも芯が太くなって、ちゃんと完成しきったなと思います。成長できているな、常にって。いろんなところに変化を求めてやってきた成果が、ちょっとずつ出てきてんちゃうかなっていうのが今の自分の感覚ですね。

あきらかにあきら(以下、あきら):作り方としてもすごく刺激的でしたし、今までで一番ソリッドな曲なんじゃないかなって思います。でも、それはいわゆる初期衝動みたいなものではなくて、僕らの歴史の中で出会った仲間がいて、いろんな経験をしてでき上がったソリッドさ。すごく洗練された上質な鋭さっていうものが表現できたので、嬉しいですね。満足度の高い楽曲になりました。

鈴木重伸(以下、鈴木):それこそ『SUCK MY WORLD』で勉強したこともフルに落とし込めましたし、その1ランク上がったロックな楽曲を作れたなって思います。

中西雅哉(以下、中西):うん。オーラルの真ん中にあるのはやっぱりこういうサウンドなのかなってすごく感じるし。「起死回生STORY」でデビューしたときの「ロックバンドってカッコいい、最高」っていう気持ちがさらに強くなってできた、確固たるサウンドになったなって思います。

ーー「Red Criminal」はバンドのセッションで作ったのに対し、今回はHello Sleepwalkers(以下、ハロスリ)のシュンタロウさんがプロデューサーとして参加しています。そういう形になったのはどうしてなんですか。

山中:俺ら自身がコライトに対しての抵抗感があまりなくなってきているのが一番大きいんですけど、あとは最終的な目標がだんだん変わってきているのも大きいかな。もともとヨーロッパツアーやアメリカツアーをしたいとか思っていて、もちろん今もやれればいいなとは思っているんですけど、コロナ禍もあるから、それ以上に「信じられるヤツと信じられるものを作っていく」ほうが最終的な幸せに繋がっていくんじゃないかって思うことが増えてきていて。年齢を重ねて、身の周りの誰が大切なのかがはっきり見えてくる状況になってきた中で、「俺らの幸せやファンにとっての幸せって何やろう?」って考えたときに、やっぱりそこにひとつの集合体を作ることが絶対に必要やなって。「もうオーラルの家族でしょう」みたいな、仲間と一緒に素晴らしいものを完成させる喜びがすごく大きいことを知り始めているからこそ、今回はコライトの形を取りました。シュンタロウは俺らをデビュータイミングから見てくれているし、俺らもすごくハロスリのことをリスペクトしてるから、彼の力を借りればこの楽曲がもっと煌びやかに光っていくんじゃないかなって想像できたので。

鈴木重伸

ーーコライトをやるとか、プロデューサーを立てるとは言っても、有名なプロデューサーと組んで新しい挑戦をしようということとはまた違いますよね。シュンタロウさんは同世代で、同じバンドマンっていう。

山中:俺らは、名前が通ってるプロデューサーかどうかなんて別にどうでもよくて。そんなことより一緒に作っていて楽しいヤツのほうがいいし、でき上がったときに一緒に喜べるほうがいいし、これから先も応援し合える関係性であったほうがいい。そういう意味でもシュンタロウとやりたいと思いました。やっぱり信頼できる仲間と一緒にやっていくほうがオーラルっぽいのかなって思うんですよね。

「自分の可能性を広げていく柔軟さが生まれてきた」

ーーメンバーはどんなふうに感じて取り組んでいきましたか。

中西:僕もずっと前から拓也に「ひとりで抱えて作るスタンスだけじゃないと思うよ」みたいなことは言っていたんです。いろんなアーティストも誰かと一緒に作ることが当たり前になっているし、ブルーノ・マーズのアルバムなんて「クレジットどんだけいるねん!」みたいな感じじゃないですか(笑)。だから僕もその抵抗は全然なくて。ただ、“ザ・プロデューサー”みたいな人が来ると、その船に乗っているときになんか違和感を感じつつも、メンバーみんな乗り続けちゃうと思うんです。それで果たして自分たちは楽しいのかっていう不安もあったから、シュンタロウが入ってくれると聞いたときは最高だなと思いました。まだ作ってもいないのに「絶対カッコよくなるな」と思っていましたし、作っていく中で1回も首をかしげることはなかったですね。

中西雅哉

鈴木:シュンタロウが上げてくれたデモに対して、「ここはどうしよう?」という部分をそれぞれパートごとに振ってくれたりもしたんですけど、そのときの会話も楽しかったです。同い年やけど純粋にリスペクトしているし、勉強したいっていう気持ちで「どうやったらこういうギターのフレーズになるの?」とか、そういう距離感で話せる人と一緒にやるのがすごく楽しかった。レコーディングのときもずっとブースにいて、一緒にやってくれましたし。

ーープロデューサーとしてのシュンタロウさんは、一言でいうとどんな感じなんですか?

山中:ギターに関しては鬼コーチ。何回もやり直して、「何が違うねん!」みたいに思って、ちょっとキレそうになった(笑)。

鈴木:「何が違うねん、一緒やん!」ってな(笑)。

山中:でも、おもろかったですよ。そこまでこだわってくれるんやったら俺らもやりまくろう! みたいな気持ちになったし。

中西:ドラムに関してもでき上がってきた時点で鬼でしたね。制作部屋で一緒にプリプロすると、「ここのツーバスはユウキ(Hello Sleepwalkers)は踏めるけど、普通の人は踏めへんから」って言うんです(笑)。でも「ちょっとこれは変えるよ?」って聞いたら、いいよって言ってくれて。自分の中のビジョンが崩れない場所に関してはすごく寛大に対応してくれるし、やったフレーズを聴いて「それ、いらないですね」みたいなこともはっきり言ってくれるから、すごくやりやすかった。ちゃんとバンドマン目線で見てくれているから勉強になりました。

あきらかにあきら

ーー「MACHINEGUN」って聴けば聴くほど今までのオーラルになかった要素がいっぱいあって面白いんですけど、トータルとしてはすごくオーラルっぽいロックナンバーに仕上がっているところが味噌だと思うんです。オーラルのスタイルはメンバーが作り上げてきたものだけど、そこに新しいものを取り込んでいきながらもしなやかに自分たちのロックを鳴らしてみせるという、それは今だからできることだと思うんですよね。

山中:まあ、落ち着きと自信じゃないですかね。そんなに肩肘張って「オーラルはこうやらなあかん!」みたいなものが、ここ2〜3年で徐々に薄れていってるし、『SUCK MY WORLD』なんてその典型だったから。何やっても俺らになるから大丈夫、みたいな自信。ハロスリが第一線で一緒にツアーを回っていたようなタイミングだったら、「絶対負けない。シュンタロウなんかに頼むか!」みたいな気持ちはあったと思うんです。それも当時は確実に必要なプライドだったと思うんですけど、年齢を重ねることで、それよりも世に素晴らしい作品を残すことだとか、自分たちができることや楽曲の可能性をもっと引き上げられるのであれば、どんな手を使ってでも引き上げていくっていう柔軟さが4人のなかに生まれてきたんじゃないかなって。

ーーだから、あらゆることに対してものすごくオープンマインドなんですよね。「仲間やん?」みたいな、そういう感覚で全部動けている感じがする。

山中:コロナ禍になってからLINEの履歴とか調べて、「あれ、俺って誰と友達だったっけ?」みたいになるじゃないですか。結局コロナ禍でも連絡取ってるヤツが真の友達だったりする。シュンタロウもコロナ禍でちょくちょく連絡取ってたんですよね。やっぱりこうやって残っていくねんなと思って。今までは「何かあるかもしれない」「チャンスが転がってるかもしれない」っていう思いでいろいろ広げてきたけど、今はそんなに広げずとも、俺らは図太くやっていけるよって思う。気の知れたヤツと楽しく曲を作って、最高のものを生んでいこうぜっていうマインドのほうがええもん生まれるなって。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる