JUNNA×梶浦由記「海と真珠」対談 “新しい歌の表情”にチャレンジした刺激的な制作を語り合う

JUNNA×梶浦由記「海と真珠」対談

言葉とメロディを有機的に絡ませるための試行錯誤

ーー歌詞に関してはどんなイメージで綴っていったんですか?

梶浦:大事にしたのはワクワク感ですね。特にサビでは、海へ飛び出したくなるような気持ちのいい響きの言葉を乗せようとは心がけていました。聴いている人の気持ちにも勢いがつくように。

JUNNA:そういう歌詞だからこそ、スッと曲の世界に入って歌えたのかもしれないです。どのパートも情景が浮かびやすい歌詞になっているので、感情も込めやすかったです。その世界の中で自分が歌っている姿をイメージできるかどうかってすごく大事だと感じているので。ただ、個人的には〈エルドラド〉っていう言葉に強く反応して、そこは何度も歌い直したような記憶があります。

ーーなぜ反応したんでしょうね?

JUNNA:たぶん、言葉として新鮮な感覚があったのだと思います。私の中では出てこない言葉だったからこそ、「しっかり歌いたい、伝えたい」っていう気持ちになったんだと思います。

梶浦:〈エルドラド〉って、いい意味でちょっと古い言葉ですからね。中澤監督(中澤一登/『海賊王女』の監督)がおっしゃっていましたけど、今回の『海賊王女』という作品には70~80年代の冒険物アニメが持っていた、いい意味での古さをいっぱい詰め込みたかったそうなんです。“古い=悪い”ことじゃないでしょっていう意味で、私にもどこかそういう思いがあったから、歌詞に〈エルドラド〉という言葉を使いました。

JUNNA:そうなんですね。私にとっては本当に新鮮に感じました。

梶浦:言葉にも流行りがありますから。今風のサウンドに〈エルドラド〉という言葉を乗せてハマるのかというと、またそれは違うのかなと思いますけど、「海と真珠」のようにちょっと懐かしい雰囲気を持っている曲には上手くハマったということなんでしょうね。

ーーシングルの4曲目には「海と真珠」の英語バージョンである「the sea and a pearl」も収録されていますね。

JUNNA:はい。アニメが海外でも配信されていて、たくさんの方に観てもらえている状況なので、改めて英語バージョンをお届けすることで、楽曲の世界観にもより浸ってもらえたらいいなと思って作りました。

梶浦:ただね、日本語の曲を英語にするのは結構難しくて。やっぱり歌が忙しくなっちゃうんですよ。JUNNAさんはすごく英語がお上手なので、レコーディングもまったく問題なかったですけどね。上手に歌っていただいたことで、あまり忙しく聴こえない仕上がりになっていると思います。

ーーJUNNAさんは、昨年12月リリースのアルバム『20×20』に収録されていた「Now or Never」で初めて全英詞の曲に挑戦されましたが、今回のレコーディングはいかがでしたか?

JUNNA:やっぱり難しいなと感じました。特に「海と真珠」は最初に日本語でレコーディングしていたし、すでに日本語で歌い慣れている状態だったので、曲の雰囲気を崩さないまま英語で表現することがだいぶ難しくて。

梶浦:英語になったことで微妙にメロディラインが変わるところもありますからね。

JUNNA:そうなんです。英語バージョンに歌い慣れると、今度は日本語のほうに戻れなくなったりもして。ライブでは両方を歌う場面もあると思うので、しっかり練習しなきゃいけないなと思いつつ、その状況すらも楽しめたらいいかなと思ってます。

梶浦:最初から英語で作っていたら絶対こんなメロディにはしませんけど(笑)、これはこれで、日本語の曲を無理やり英語にしたからこそ生まれる魅力みたいなものを感じてもらえるかもしれないですね。忙しなさすら面白い、みたいな。

「海と真珠」を20年後も歌っていくために

ーーカップリング曲についても聞かせてください。「ROCK YOU, ROCK ME」はJUNNAさんお得意のロックナンバーです。

JUNNA:“ROCK YOU”は自分のツアータイトルに使っているフレーズだし、“ROCK ME”は私のファンクラブの名前(じゅんな6くみ)の由来でもあるんです。どちらも私の活動においてすごく大切にしている言葉なので、今回はタイトルを私が決めて、それに合わせて歌詞をお願いしました。アレンジも歌詞に合わせてよりストレートなロックサウンドに変わっていきました。楽曲が変化していく過程を見ながら作り上げていったので、歌もすごく表現しやすかったです。

ーーもう1曲は「はじまりの唄」ですね。

JUNNA:作詞を私が担当して、作曲はツアーのバンマスをしてくださっている島田(昌典)さんと一緒に作らせてもらいました。作詞はすごく苦労して、7回くらい書き直しました。『JUNNA ROCK YOU TOUR 2021 〜20才の夏〜』に向けて書いた曲でもあったので、「私にとってライブはかけがえのない大切な場所なんだよ」ということをみんなに伝えたかったんです。思いのすべてを言葉にして伝えられないことが難しかったです。

梶浦:でも、こうして歌詞カードで見ても、すごくいい歌詞じゃないですか。思ってることのすべてを歌詞に詰め込もうとしたら、間違いなく10分くらいの曲になっちゃいますから(笑)。作詞って、基本的にすべての思いは入らないものなんですよ。しかもメロディに乗せることで、本来のイントネーションと違う響きになったりすると、また書き直さなきゃいけなかったりもするし。

JUNNA:(大きくうなずきながら)めちゃめちゃありました!

梶浦:それを違う言葉にどう言い換えるかで1週間くらい悩むこととか、私もありますから。そこを上手くクリアするには、やっぱり曲と一緒に歌詞を作るのが一番の近道なんですよ。メロディに合わないなと思えば、メロディ自体を変えてしまうことができるわけじゃないですか。だからJUNNAさんが作詞に加えて、作曲にも挑戦されているのは素晴らしいことだなと思いましたよ。

JUNNA:ありがとうございます! 私自身、作曲したのはこの曲がまだ2曲目なんです。すごく楽しみながら作れているなと感じています。これからは梶浦さんからのアドバイスを活かしながら、さらに頑張っていけたらいいなって思います。

JUNNA Behind the scene of はじまりの唄

ーー来年1月には全4公演のツアー『JUNNA ROCK YOU TOUR 2022』の開催も控えていますね。

JUNNA:「海と真珠」はもちろん、シングルに収録した曲たちを皆さんにしっかりお届けできるツアーにしたいと思っています。新たな挑戦もいろいろと詰め込めたらいいですね。ただ、ツアーの頃にはもう21歳になっているので……この間まで「ついに20歳になったー!」とか言っていたのに、時間は止められないんだなって(笑)。

梶浦:あははは。でも中澤監督が「『海と真珠』は20年は歌い継いでいってほしい」とおっしゃっていましたけど、20年経ってもJUNNAさんは40歳じゃないですか。全然行けますよね(笑)。

JUNNA:確かにそうですね(笑)。ほんとに「海と真珠」をずっと歌い継いでいけるように頑張りたいです。今のところ20年後の自分をまったく想像はできないですけど……。

梶浦:大丈夫。すぐですよ!

JUNNA:ちょっと怖いですが(笑)、でも年齢を重ねないと歌えない歌もあるはずなので、楽しみながら年齢をしっかり重ねていけたらいいなって思います。

■リリース情報
JUNNA 5th Single『海と真珠』
2021年10月6日(水)発売
BD付初回限定盤:4,400円(税込)
通常盤:1,540円(税込)

<CD収録曲>
1.海と真珠
作詞・作曲・編曲:梶浦由記
2.ROCK YOU, ROCK ME
作詞:尾上文 作曲:井上アッシュ 編曲:桶狭間ありさ
3.はじまりの唄
作詞:JUNNA 作曲:JUNNA・島田昌典 編曲:島田昌典
4.the sea and a pearl
作詞・作曲・編曲:梶浦由記 英訳詞:Joelle
5.海と真珠 without JUNNA     
6.ROCK YOU, ROCK ME without JUNNA  
7.はじまりの唄 without JUNNA

<Blu-ray Disc 収録内容>
・「海と真珠」 Music Video
・『JUNNA ROCK YOU STREAMING LIVE 2021「20×20」』Selection
1.Believe In Myself
2.Sky
3.FREEDOM 〜Never End〜
4.La Vie en rose
5.あばよイエスタディ
6.Here
7.ソラノスミカ
8.波打ち際
9.Sleeplees
10.コノユビトマレ-20×20 ver.-
11.我は小説よりも奇なり
12.いま

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