Chilli Beans.、バイラルチャート急上昇で存在感 ギターロックの可能性を証明する希望の光

 「lemonade」は、底抜けに明るいようで、どこか喪失感の影が見え隠れする、まさにレモネードのような甘酸っぱい楽曲に仕上がっている。軽快でポップにコーティングされた耳馴染みの良いサウンドの裏側では、タイトな演奏がしっかり楽曲全体を支えていて、何度聴いても飽きることがない。その他にもビンテージ感のある音作りや、芯の強いリードボーカルとコーラスの心地よいバランスといった細部へのこだわりも楽曲に深みを与えている。

Chilli Beans. - See C Love (Official Video)

 また、歌詞の語感も印象的である。〈ゆらりゆらり/あつくなびく/ふわりふわり/君のくせ毛〉〈さらりさらり/触れた小指/そっとぎゅっと/握る 甘く〉のような擬態語を効果的に使ったフレーズでは、場面のイメージが感覚的に立ち上がるだけでなく、リズム的にも独特な感触が加わる。その他にも、サビの〈したい いやいやいやいやいや〉というフレーズでは、「したい」という言葉が「いや(嫌)」という意味を経由して徐々に解けていくさまも、歌詞と音楽が交わる汽水域のような美しい瞬間である。

 Chilli Beans.は、「lemonade」も収録された1stデジタルEP『d a n c i n g a l o n e』をリリースしている。収録された4曲それぞれ、Chilli Beans.の違った表情を感じることができる作品だ。ぜひ、彼女たちの底知れない魅力に触れてほしい。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「音楽シーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる