幾田りら、Mrs. GREEN APPLE、SHISHAMO……『今日、好きになりました。』展開を盛り上げる主題歌&挿入歌に注目

 挿入歌のMrs. GREEN APPLE「点描の唄 (feat.井上苑子)」(2018年8月リリース)も番組が映し出す切実さをぐっと引き立てる。

 Mrs. GREEN APPLEのボーカル・大森元貴の柔らかな男声と透明感のある井上苑子の女声が混ざり合うこの曲は、共に時間を過ごす男女を彷彿とさせる。想い人と2人きりの時間が過ごせる「2ショットタイム」の際に流れることも多い「点描の唄」は、両想いの2人の幸せなひとときを、あるいは一方通行の相手と見つめ合える儚い時間を控えめで、しかしストレートな言葉で飾りつける。サビの最後に印象を刻み付ける〈私の僕の 時間が止まればいいのに〉のフレーズはときに幸福感をあらわし、ときに切なさで胸を締めつける。シチュエーションによって響きを変え、男女の気持ちに寄り添い続けている。

 短い時間で恋の起承転結が繰り広げられる『今日好き』は、もどかしさや気持ちの大きさ、うれしさ、くやしさなどから涙が光ることも少なくない。井上が歌う〈泣き虫でもいいかな〉とそれに応えるような大森の〈強がらないでいいよ〉、2人が織り成すベールのように包みこむ歌詞は、不器用に進む男女の背中を押す。「向日葵編」5話にて、はるひとがルール上の告白タイムを待たずにあやのを誘い告白をするまでのシーンで流れる本曲は、特にそれぞれの心境を表しているようだ。告白する人、される人、待っていることしかできない人。それぞれの思いを楽曲が炙り出す。

Mrs. GREEN APPLE「点描の唄 (feat.井上苑子)」

 また、この番組を彩るのは楽曲のオリジナルバージョンだけでない。ほろ苦く終わった2ショットタイムや告白のあとには、しばしば主題歌や挿入歌のオルゴールバージョンやピアノバージョンが流れる。

 歌詞からメロディまで番組内容やシチュエーションに優しく寄り添う選曲がなされている『今日好き』。9月13日からは、主題歌を幾田の「ロマンスの約束」に据えたまま、新シーズン「朝顔編」が開幕する。どのような恋が生まれるのか、主題歌、挿入歌がどのように番組を盛り上げるのか。楽しみにしたい。

(※1)https://realsound.jp/tech/2021/07/post-818878.html

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「音楽シーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる