少女時代「Gee」、KARA「GO GO サマー!」……過去曲がTikTokで再ブーム 若者が“#韓国懐メロ”で踊る理由

 振り付けに関しても「Gee」のダンスは、当時韓国のバラエティ番組でも多くのタレントが真似をし、日本でも中居正広が『SMAP×SMAP』でカバーダンスを披露していたほど“真似させる力”を持っていた。そして特徴的な脚を使った振りは縦型の動画向き、つまりTikTokとの相性も抜群である。

 余談ではあるが、韓国でも昨年より「懐メロブーム」が来ている。地上波テレビ局・SBSが運営するYouTubeチャンネルで配信中のバラエティ『文明特急 - MMTG』が火付け役だ。2010年代に活動していたアイドルを招き、当時のヒット曲の魅力を再発掘するコーナーが若い世代に刺さり「スムドゥンミョン(隠れて聴く名曲)」という流行語まで誕生した。「隠れて聴く=おおっぴらに聴くのは恥ずかしい」というやや失礼な(?)ニュアンスも含みつつ、古い曲だと忘れ去るには惜しい楽曲が多数あるということの裏返しだろう。

過去曲も蘇らせる、SNSのパワーと独自の影響力

 SNSが独自の影響力を持ち、時にアーティスト側や既存メディア以上の拡散力を持ったことも「K-POP懐メロ人気」の最大の要因だと思われる。アーティストの所属事務所やレーベルが意図しないところで、PR期間を過ぎた曲が再び話題になる例は少なくない。「懐メロ」と呼ぶには新しいが、TWICEが2018年に発売した「What is Love?」もTikTokで再び人気急上昇中だ。そんな動きを受け、TWICEメンバー本人たちもセルフカバー動画をUPしている。リリース直後や活動期間を過ぎれば、曲の鮮度も価値も急降下してしまう時代を思い返すと、TikTokをはじめとしたSNSはアーティストやクリエイター、楽曲にとって救世主なのだろう。今やクリエイティブの寿命を延ばし、息を吹き込んでいるのは企業側ではなくSNS上の若者たちなのだ。

 これからも「今になってあの歌が?」という再ブレイクソングが出てくるはず。私のプレイリストにある「隠れて聴く名曲たち」もいつか「見せて踊る曲」になるのでは? と期待している。

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