PLOT SCRAPS 陶山良太、メジャーシーンに一石投じる“パンク精神” ありのままの自分でアートを作る理由とは?

PLOT SCRAPS陶山が共鳴するパンク精神

「変えられない自分を認めた上で、人とどう関わりたいか」

ーーカップリングの「陽炎のメモリー」は年齢が限定できない歌詞にもなっていましたけど、どのような想いで制作されたんですか。

陶山:最近、全部そうやって書いているんですよね。年齢や男女をなるべく限定しないように、どういう関係であっても当てはまるようにしようと思って。「陽炎のメモリー」はラブソングを書こうと思ったんですけど、どの地点から振り返っている曲なのか、聴いたその人になるべく当てはまるようになったらベストだなって考えてますね。

ーーインタビューでもたびたび『NHK紅白歌合戦』出場を目標の1つに掲げていて、読んでいても真意を図りかねていたんですが、お話を聞いていたら、さらにハッとするような曲で『紅白』に出たら面白いなと思いました。

陶山:でも、僕らが『紅白』に出るとしたら、「ギターを破壊してびっくりさせたい」みたいな思考になっちゃうんです。やっぱりポップなフィールドでエクストリームなことをやりたいからなんですよね。

ーーそれって、いわゆる衝動的なロックバンドへの憧れも持っているからなんでしょうか?

陶山:自分の内面を解体したときに、ロックというよりパンクが強かったんですよ。社会の中で、普通に人に言ったら憚られるような思いを持っているから、そういう意味での“パンク”。反抗するとかじゃなくて、関係ないから何かを破壊するみたいな......そういうことに駆られてる気がします。今のところ、自分に近いと思う人に会ったこともないんですよね。

ーー「ロックよりもパンク」ということですけど、いつだって時代を変えていくのはパンクの精神性ですよね。PLOT SCRAPSにとってのパンクを言葉にすると、どういうものだと思いますか。

陶山:楽曲をみんなで作って、表現することが僕らの中ではパンクだと思います。おっしゃる通り、例えば美術の世界でも印象派が出てくることで時代の潮流が変わったりとか、何かが転換する時にポイントになるものって“パンク”ですよね。でも、僕が抱えてるパンクはそういうものにさえも当てはまらない可能性があると思っていて。「芸術の流れに自分を乗せられないんじゃないか?」という危惧があるんですよ。

ーーというと?

陶山:音楽を始めた時に、売れてるアーティストを見て「ああなりたい」って憧れる人は多いと思いますけど、実際どれくらいまで近づけるかってわからないじゃないですか。僕も最初はそんなことまったく考えず、周りを見ずに勢いで行動してたんですよ。そういう最初のジャンプで、ちょっとは前に進めたなって思いますけど、これからもっと前に進むためには、またそういうジャンプが必要なのかなと思っていて。目立ちたがり屋だし、人と喋りたいから、そうやって無理やり目標に近づけている感覚なんですよね。

 カルチャーに対する見方とかも、平均よりは備わっていると思うんですけど、それも「できる/できない」じゃなくて、「やる!」と思って無理やりここまできた感覚というか。なので、本来もっとダメダメな自分だった可能性もあるんですよ。怖いから、「根本的には能力ないのかも……」って思う自分を振り返らずにきたんです。芸術の流れに乗れない理由があるとしたらそこですかね。けど、気づいたら仲間ができていて、バンドを組んで今みたいな曲はなんとか作れているので。僕自身がそうやって生まれてきちゃっている分には仕方ないから、何とか素の自分のまま芸術にねじ込めないかなって考えています。

ーーある意味、始めた当初の勢いのまま音楽を続けているわけだと思いますけど、それでもメジャーのフィールドで音を鳴らしてこれているし、これからもPLOT SCRAPSは音楽を作っていくわけですよね。その続ける原動力って何なんでしょうか?

陶山:やっぱりどこまでも売れたいし、メジャーな存在になりたいし、人に影響も与えたいんですよね。身の周りの人に幸せになってもらいたいし、自分が生み出した社会的利益でちゃんと旨みを吸って欲しいわけです。でも、今言ったような自分がいるから、「どうしようか……」っていうジレンマを常に抱えていて。僕の音楽活動はそれが全てなんですよ。それで苦労するんですけどね。「『紅白』出たらギターを破壊したい」みたいな、真逆なことばかり考えちゃう人間なので(笑)。

ーーなるほど。

陶山:でも、その性格はたぶん変えられないので、変えられない自分は認めるしかないと思うんです。「その上で人とどう関わりたいか」というのが、メジャーかインディの選択なのかなと。僕は人が好きだし、人と関わりたいので、今こうしてメジャーにいるっていうことだと思います。

ーーちなみに陶山さんにとって、「ああなりたい」っていう原動力になったアーティストといえば?

陶山:やっぱりバンプ(BUMP OF CHICKEN)です。最初はただ「カッコいい」と思っただけだったんですけどね。それまで音楽は“ただ流れているもの”だと思っていたけど、バンプを見た瞬間に「あ、音楽ってやれるんだ」「ギターでやってるんだ」みたいな感覚になれて、それは今でもよく覚えてますね。よく自分もそこから疑わずに進んでこれたなって思いますけど、やりたいことだからやってきている。単純にそれだけなのかもしれないです。

PLOT SCRAPS『透明花火』

■リリース情報
PLOT SCRAPS 4th Digital Single『透明花火』
8月11日(水)配信リリース
ダウンロード/ストリーミングはこちら
<収録曲>
1.透明花火
2.陽炎のメモリー

■ライブ情報
『PLOT SCRAPS presents「BOYS ON THE RUN Vol.3 真夏のスリーマン編」』
日程:9月10日(金)
会場:渋谷TSUTAYA O-Crest
時間:開場17:30 / 開演18:00
出演者:PLOT SCRAPS / SHIFT_CONTROL / シロとクロ
チケット発売日:8月4日(水)10:00〜
チケット料金:¥2,000(1D別)
購入はこちら:https://eplus.jp/sf/detail/3470840001-P0030001

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