超特急、『コント×超特急』第二弾でパワーアップした笑い 誠実に向き合い成長していくエンターテインメント

超特急、パワーアップした笑い

 「初キス大作戦」という今回のキーワードに向けて走り出した物語の後半戦は、ここまで謎だった五郎の存在にもフィーチャーしていく。引きこもりとしてここまで姿を現さなかった五郎は、実は覆面ミュージシャンであるYORUDAN(夜のダンスタイムがずっと続けばいいのに)のsujikoだったことが告げられ、唯一LINEスタンプで会話ができる一郎が連れてくることに。前回のコントを見た人はきっと、タカシがsujikoとなって登場することを想像したと思うが、ここはやはりコント。sujikoに扮した人物をタカシ含む全員が追いかけ、ひとしきりのドタバタ劇からまさかの新曲「MAJIなんなんだPart2」を電撃発表。歌詞にはここまでの会話の中で出てきた「マジなんなんだ?」な事柄が織り込まれており、伏線もしっかり回収されていた。

 YouTube登録者数9万人を誇るYORUDANの新曲は相変わらずの名(迷)曲だったが、期限の日を迎えた時点でのチャンネル登録者数は惜しくも10万人に届かず、雨太郎は五つ子のもとを去ることに。一人ひとりに向けて最後の言葉を贈り、出ていこうとする雨太郎を呼び止めた一郎の頬にはなんと一筋の涙が。「すごいなお前、泣けるの!?」とツッコミを入れる雨太郎に全員が本気の告白をし終えると、二郎は「最後に1人選んで、キスして欲しい」と懇願し、4人は雨太郎に右手を差し出したーー。

 初日の公演後に配信された反省会動画でも「今日とはエンディングが違うかも」と予告されていたが、この日雨太郎がキスしたのは四郎。理由を聞いた四郎に「仲直りのキスさ」と答えていたが、ひょっとしたらこれはリョウガの暴露話の際、本番前のリハで段取りを間違えたユーキがリョウガに怒られたというくだりがあったことにつながっていたのかもしれない。客席からは笑いやら悲鳴やら歓声が巻き起こっていたが、キスシーンというこのオチはやはり観客のリアクションあってこそだろう。5人それぞれが悲喜交々の表情を浮かべる中、映画『五等分の花婿』は終幕を迎えた。

 喫茶店のチャラ男たちや「THE FIRST TAKE」、カリスマ美容師の鬼目つけ彦、YORUDANが出演する歌番組など前回からの関連性を色濃く残しつつも、5人の演技により重点が置かれていた今回の『コント×超特急』。ユーキのアイメイクやカイとタカシの恋人つなぎなど細かい設定もさらりと取り入れながらパワーアップした笑いを見せた、出色のコントライブだったと思う。

「みんなが笑ってくれるから、僕たちはいろんなことに挑戦ができる。これからもたくさん笑って、泣いて、感情を動かしてもらえたら嬉しいです」

 本編ではツッコミまくっていたのに、全員から「話が長い」とツッコまれながらも最後の挨拶としてリョウガが伝えたこの言葉は、『コント×超特急』にかける5人の総意であり、8号車側からの望みでもあるのではないだろうか。次回も、そして今後という意味でも、誠実に笑いと向き合いながら成長していく超特急独自のエンターテインメントが楽しみで仕方ない。

超特急 オフィシャルサイト

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