ドミコ、強靭なグルーヴが生み出した“息もつかせぬ興奮と熱気” 楽曲の幅広さでも魅了した『猿犬蛙馬周遊Tour』

ドミコ、息もつかせぬ興奮と熱気

 そして今回のライブタイトルにもなっている「猿犬蛙馬」を披露。2人が見つめ合って息を合わせるように、グルーヴ感溢れる演奏を繰り出す。新曲なのでライブで披露された回数はまだ少ないが、これからライブの定番曲になりそうな盛り上がりになっていた。「ラスト1曲やって帰ります」とさかしたが呟いてから、ライブ定番曲で人気曲の「ペーパーロールスター」が始まる。全てを出し切るようなエモーショナルな演奏に合わせて、さかしたはバスドラムの上に足を置くなどパフォーマンスも激しくなっていく。長谷川も負けじとドラムの音が力強くなり、大きな歓声を出せないものの、観客も全身で熱気や興奮をステージに伝えようとしていた。

 メンバーがステージを去るとすぐにアンコールを求める手拍子が巻き起こる。すると客席壁に掲げられたスクリーンに映像が流れ、最新アルバム『血を嫌い肉を好む』が10月13日にリリースされることと、そのレコ発ツアーが10月23日の札幌公演を皮切りに全国12カ所で行われることが発表された。東京公演はワンマンとしては最大規模の新木場 USEN STUDIO COASTで行われる。歓喜し盛大な拍手を送るファン。コロナ禍においても、音楽を鳴らしてライブを続けてくれるドミコへの、感謝の気持ちを込めた拍手にも聞こえた。

 再びステージに登場し、アルバムのリリースとツアーの開催を改めて伝えると、「2曲やって帰ります」と告げてから演奏が再開。アンコール1曲目は「深海旅行にて」。アウトロの長いセッションに彼らの演奏技術の高さを感じたところで、ラストは「こんなのおかしくない?」。アップテンポでキャッチーなメロディに、自然とテンションも上がってしまう。ドミコはほとんどMCをしないし、ハイレベルな演奏でストイックに聴かせるバンドではあるが、2人だけでライブが成立しているわけではなく、オーディエンスが作り出す空気も最高のライブを作るためには必要だ。サビに入ると照明に照らされる客席を見て、改めてライブはファンも一緒に作るものだと実感した。

 ライブ終了後、ドミコの公式Twitterアカウントには「渋谷ありがとー、しぬほどたのしかたよん」というツイートが投稿された。きっと会場に集まった全員が同じ気持ちになっているはずだ。最新アルバムではより深いドミコの魅力を伝えてくれるだろうし、次のツアーではさらに進化したバンドの姿を見せてくれるだろう。これからも“びりびりしびれる”ロックを鳴らすドミコに期待したい。

■セットリスト
ドミコ『猿犬蛙馬周遊Tour』
7月21日(水)渋谷TSUTAYA O-EAST
1. 裸の王様
2. びりびりしびれる
3. まどろまない
4. 噛むほど苦い
5. マイララバイ
6. なんていうか
7. ロースト・ビーチ・ベイベー
8. くじらの巣
9. WHAT’S UP SUMMER
10. 問題発生です
11. おばけ
12. 化けよ
13. 猿犬蛙馬
14. ペーパーロールスター
En1. 深海旅行にて
En2. こんなのおかしくない?

ドミコ Official Site

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